相次ぐ通信障害も「業界全体の満足度は上昇」のワケ【携帯キャリアCS調査】

「J.D. パワー2022年携帯電話サービス顧客満足度調査SM」より

相次ぐ通信障害も「業界全体の満足度は上昇」のワケ【携帯キャリアCS調査】
(※写真はイメージです/PIXTA)

米国を本拠とする国際的なマーケティングリサーチカンパニー、J.D. パワー(ジェイ・ディー・パワー)より、2022年の携帯電話サービス顧客満足度ランキングが発表されました。調査によって判明した、通信障害が相次いで起きたのにもかかわらず、業界全体の満足度は上昇した理由を詳しく解説します。

調査のポイント

■相次ぐ通信障害も、業界全体の満足度は上昇

今年に入りいくつかの携帯電話事業者において通信障害が相次いだが、業界全体としては総合満足度スコアは前年比+7ポイントの上昇となり、多くの事業者で満足度向上がみられた。

 

部門別に昨年(2021年9月発表)との満足度と比較すると、大手キャリア部門の総合満足度は前年比+7ポイントで、「各種費用」ファクターの評価が向上しており、特に「料金プランのわかりやすさ」において向上している。ユーザーに対する料金プランの周知・説明方法等が改善に向かっていることがうかがえる。

 

バリューキャリア部門の総合満足度は前年比-9ポイントと低下した。これは一部のサービスブランドにおける通信障害や料金プラン見直しが影響していると考えられる。

 

MVNO部門の総合満足度は前年比+6ポイントで、「通信品質」ファクターの評価が向上しており、特に「通信の速度」において向上している。「データ通信に時間がかかる」、「突然、接続できなくなる」といった通信不具合を経験するユーザーも昨年から減少しており、多くのMVNO事業者で通信品質の改善・向上への取り組みが進んでいることが推察される。

 

オンライン専用ブランド/プラン部門では前年比+2ポイントで大きな変化はないものの、昨年に続き、4部門中もっとも高い顧客満足度を得ている。オプションの拡充や料金サービス体系の刷新等により、引き続き高い満足度を維持していることがうかがえる結果となった。

 

■多くのブランドで「通信品質」の評価が低下、ユーザーの「通信品質」への意識高まる

相次ぐ通信障害のなか、多くのブランドで通信品質に関する評価の低下が確認された。調査対象となっている15携帯電話サービスブランド中6ブランドで、「通信品質」ファクターにおいて前年比-10ポイント以上の低下となった。この1年で発生した複数の通信障害が今回の満足度低下に影響をおよぼしていると推察される。

 

加えて、ユーザーの通信品質に対する意識の変化もみられた。総合満足度を構成するファクターとして、昨年は「各種費用」の影響度がもっとも大きかったが、本年は「通信品質」の影響度がもっとも大きくなった。

 

【各構成要因(ファクター)ごとの総合満足度への影響度】

・2022 年

「通信品質」28%、「各種費用」26%、「サービスメニュー」20%、「手続き・サポート対応」13%、 「提供端末」13%

・2021 年

「各種費用」27%、「通信品質」25%、「サービスメニュー」20%、「手続き・サポート対応」15% 「提供端末」13%

 

■通信障害時の不具合、もっとも満足度を低下させる要因は「スマホ決済」

通信回線の障害や通信速度の著しい低下等により、携帯電話が利用できずに困ったシーンについて聴取した。もっとも多くあがったのは「家族や友人・知人と連絡が取れなかった(13%)」で、次いで「SNS(Facebook、Twitter、Instagram等)での投稿/閲覧ができなかった(11%)」、「ニュースや天気予報を見ることができなかった(11%)」、「会計時にスマホ決済が利用できなかった(9%)」が多くあがった。

 

このような通信障害に起因して各種サービスが利用できない体験は、当然ながら通信品質に対する満足度を大きく低下させる要因となる。特に「会計時にスマホ決済が利用できなかった」という経験をしたユーザーの満足度スコアは544ポイントで、全体平均の628ポイントを-84ポイントともっとも大きく下回った。

 

携帯電話サービス本来の通話やメールでの不具合よりも、スマホ決済機能での不具合のほうがより満足度に大きな影響を与えていることが確認された。携帯電話はいまやあらゆる生活シーンで不可欠なツールとなっている。

 

携帯電話事業者においては、通信サービスの安定供給に向けた取り組みや障害防止対策の徹底に最善を尽くすのと同時に、障害発生時にはユーザーの混乱を最小限に留めるための情報伝達方法やコミュニケーション体制の構築が益々重要であろう。

 

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