「自主トレ」「パーソナル」の2本立て
■還暦トレーニーさん
人が誰かに影響されるのは、相手の知識とか経験、もちろん地位や肩書きなどではない。圧倒的で真摯なその情熱に対してだ。
ワイン会で年齢の近いトレーニーさんたちと飲んだ。正しく言うなら、お二人の噂を聞きつけ、知り合いのソムリエールさんに頼み込んで無理矢理に席を作ってもらったのだ。H市の筋肉関係ではお二人とも有名人。いわば筋肉のレジェンド。
Oさんは息子さんもボティビルダーの親子ビルダー。Aさんはかつてリフト5段(この段位については後述)の記録を持つパワーリフター。年は私より5歳ほど若かったが、トレーニング歴は30年以上になる。それなのにボルドーワイン好きというのが意外だった。
酔って騒いで盛り上がり、一度ジムに見学に行きたいという話になった。「古くて、全然オシャレじゃないですよ」と、我が事のように恐縮するOさんに連れられ向かったのがH市の「SEIBUGYM」だった。
■トレーナーさんとの出会い
オーナートレーナーの鈴木章弘さんは2代目。年齢は40代半ばだろうか。ジムはお父さんが1981年に開いたというだけあり、建物からバーベル、マシンまで年季が入っている。ロッカーも半分ほどは鍵が壊れて閉まらない。逆に言うと鍵をかける必要がないくらい、トレーニー全員が顔見知りということだ。
無論、全員がボディビルダー目指して通っているわけではない。ダイエットのためであろう若い女の子も中年の女性もいる。冬休みなどには近くの学校の高校生たちも大挙してやってくる。外国人も多い。
しかし雰囲気はとてもストイックだ。おじいちゃん、おばあちゃんたちがペチャクチャと世間話をする代わりに、ジムのあちこちで聞こえるのは重さと戦ううめき声である。同年代の人間が必死にトレーニングをする姿はやはり刺激になる。以前の個人ジムに不満があったわけではないが、そのまま鈴木さんのパーソナル・トレーニングを受けることを決めた。
同時に、しばらくしてH市にゴールドジムも開設され、総合型のジムの方もやめてこちらに移った。かくて、自主トレはゴールドジム。パーソナルは「SEIBUGYM」という2本立て。このとき、実は私、すでに66歳の誕生日直前であった。
■「『ほぼ日100回』筋トレ」
さて、最近の私自身の自宅トレーニングについても、少しだけ紹介しておきたい。
朝起きると、トイレを済ませて体重の計測。水を飲んでマルチビタミンとかオメガ3にラクトフェリン。BCAAかEAA5〜10gを直接口に放り込む(俗にこれを「ビルダー飲み」などという)。ついでの漢方薬「八味地黄丸」はオヤジの定番。ざっくりとした「8時間ダイエット」をやっているから6時に起きたら10時頃までは固形物は口にしない。
珈琲を飲んでとりあえずパソコンに向かって原稿を書き始める。1時間半でアラームが鳴るので、午前中の仕事はここまで。
この間、ドアに付けた懸垂バーでハンギングレッグレイズを1セット20回。逆手の懸垂を3〜5回。眼が疲れているときはこれに加えてプッシュアップバーでプッシュアップも20回。これは思い立ったら気分転換にやる。レッグレイズ20回も、1日のうち部屋の出入りのたびに5回やれば「ほぼ1日で100回」にはなる。多分、トレーニング効果としてはたいして意味はないだろうけど、気分転換が目的だからそれでいい。