第18回モンゴル・ベトナム政府間委員会の様子

モンゴルの視点から見た国際ニュース、また同国社会の政治的・経済的ニュースを取り扱う現地モンゴル・ウランバートルのメディア『The UB Post』より翻訳・編集してお伝えする。

モンゴル銀行、インフレ率低下目標を達成

モンゴルの現在の経済環境、また今後の改善政策発足の可能性について、モンゴル銀行経済研究所のS・デンベレル所長は、インタビューで次のように答えた。

 

記者:現在のモンゴルの経済状況をどのように見ていますか? 政治家やエコノミストの中には、「この国の経済危機はさらに深まり、債務不履行に陥る」という人もいれば、「経済は回復に向かっている」と結論づける人もいます。

 

デンベレル氏:経済状況は回復していません。今年の第1四半期は3.8%経済が縮小しました。現代ではどの国の経済も、通常、グローバリゼーションの中にあり、強い影響を受けています。その中で、ビジネスにおける環境を考えると、わが国の経済はまだ拡大基調にあるとはいえません。不況から景気回復の兆しが見え始めている、といったところでしょうか。

 

家計消費は増加し、投資活動も改善しつつあります。輸出も伸びていますが、当初予測されていたレベルではありません。

 

しかし、輸入の伸びは著しく活発です。インフレは、世界の他の国々と同様、モンゴルが直面する最大の問題になっています。インフレの年間成長率は16.1%に達し、2021年末には13%に達していました。それ以降は14~16%の間で推移しています。

 

2000年以降、モンゴルのインフレ率は2021年を除いて減少していました。2000年から2020年までの傾向としては、3月から9月の間にインフレ率が低下することが大半でした。そしてパンデミックが始まった2020年から2021年にかけて、平均インフレ率は8%より0.5%高いか低いかに設定されました。

 

今年の年末からは、インフレ率は下がると予想しています。昨年の年初は3.8%だったインフレ率が、年末には13%に達しました。平均すると7.1%でした。つまり、モンゴル銀行はインフレ率を8%以下に抑えるという目標を達成したのです。それにもかかわらず、国内の多くの人は銀行が目標を達成できず、インフレ率の上昇を許したと考えています。

 

私の計算では、インフレ率の平均は7.1%に過ぎません。そのため、インフレ率が上がったからといって落ち込む必要はないと考えています。しかし、これは「インフレを抑えるために何もすべきでない」ということではありません。

 

世界一の経済大国、米国のジョー・バイデン大統領は、インフレに対抗するための計画を立てました。一方モンゴルも、主要製品の価格規制を行っています。インフレに影響を与える主な要因は、「輸送と物流」です。現在、これら2つの要因における条件を改善するため、国境地域の能力向上について話し合いを重ねているところです。今年は経済成長が期待できると考えています。

 

モンゴルは債務不履行を宣言しません。債務不履行の宣言をせずとも、債務を管理する金融メカニズムはたくさんあります。しかし、政府の債務負担が増加しているのは事実です。

 

国は財政ルールを厳格に守らなければなりません。政府の債務上限は財政安定化法で定められています。モンゴル銀行は、この限度額を現在の実質債務に基づいて調整しています。毎年の財政赤字も債務とみなされており、こうした債務負担を管理可能なレベルに調整しなければなりません。

 

財政赤字は借金で補填されます。この赤字を政府債務に加算し、GDPと比較することで、経済の実態を知ることができます。ちなみに現状、中央銀行は、インフレ率を一桁に保つことを目標としています。

 

しかし、予算を過剰に拡大し支配力を生み出すことは、金融政策を実施する余地をなくしてしまいます。また、中央銀行を依存的にし、目的遂行のための条件をあいまいにしてしまう恐れがあります。

 

現状、モンゴル銀行は独立して活動することができません。第一に、銀行の独立性を確保することが必要です。第二に、予算支出や資金調達を慎重に検討する必要があります。首相をはじめ、誰もがいま、増税はせずに使える機会使って予算収入を増やそうと話しています。

 

例えば、首相はこれまで誰も触れてこなかった石炭の盗掘問題を提起しました。彼のようにして、私たちは経済について真剣に考えていかなければならないのです。

次ページ石炭輸出の増加における影響

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    この記事は、GGOが提携するモンゴル・ウランバートルのメディア『The UB Post』が2022年9月17日に掲載した記事「Legal framework to be created for exporting frozen beef to Vietnam」を翻訳・編集したものです。

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