モンゴルの首都で進む「ナンバープレートの売買」
ウランバートル市では、車のナンバープレートの売買が新たな有望ビジネスとして進行中だ。
このビジネスが盛り上がりを見せている背景には、昨年2月にウランバートル市議会がひっそりと決議を通し、車両登録プレートの発行数を73万枚に制限したことがある。「ひっそりと」という表現は、この決定が国民の関心がツァガーン・サル(モンゴルの新年)に向けられている時期に行われたことに由来している。モンゴル人民党が多数を占める市議会は、このタイミングを利用して、国民への説明や議論をほとんど行わないまま、急いで決議を承認した。
ナンバープレートの発行制限の主な理由は、ウランバートルの交通渋滞を緩和するためだった。つまり、この規制は交通渋滞の軽減を目指した一連の対策の一環であり、ゲル地区からアパート住居への移行を支援するためのいくつかの法律や規制と共に可決されたものだった。
しかし、当局は首都の交通渋滞に効果的な対策を講じることができず、自動車の登録プレートを制限するという単純な方法を選んだ。ウランバートルの住民たちはすでに、役人たちが大々的に約束したこの「画期的な」アイデアが交通渋滞の解消にあまり効果を発揮していないことにすでに気づき始めている。
住民が交通渋滞で失う時間は「年間約1ヵ月」
この決議の立案者は、モンゴル国首都知事兼ウランバートル市長のキシュギー・ニャンバートル氏だ。同氏は次のように説明している。
「2013年には、ウランバートルには32万5000台の登録車両がありました。今日ではその数は70万台に急増しています。車の無秩序な輸入が、交通渋滞の主な原因です。ウランバートルの住民は、年間1ヵ月分もの時間を交通渋滞で失っています。毎年5万台以上の車が輸入されており、このままでは2025年までに、ウランバートルは一日中交通が完全に停止する状況に陥るでしょう。この問題の根本的な原因を特定し、解決しなければなりません」
しかし、実際には、ウランバートルの交通問題の根本原因は車両そのものではなく、効果的な解決策を見い出せていないリーダーや役人たちにある。交通を円滑に流すための環境整備は、車の台数にかかわらず、市の役人たちの重要な責務だ。これには、科学に基づいた、市民に優しい、考え抜かれた決定と解決策が必要だ。
しかし残念ながら、ニャンバートル市長は、市民にさらなる負担をかける可能性があっても、簡単な解決策に頼ろうとしているようだ。特に心配なのは、市長の政策が一貫して良い結果をもたらさず、むしろ次々と新たな問題を引き起こしてしまうことだ。
このナンバープレート制限は、ウランバートルにおける誤った政策運営の一例であり、長期的かつ持続可能な解決策よりも、短期的な対策が優先されている現状を示している。このような政策は、交通渋滞の緩和に役立つどころか、ナンバープレートの価格が高騰し、経済的な不平等が拡大し、市民の不満をさらに助長する結果になりかねない。
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