モンゴル・ウランバートルの街並み(モンゴル・ウランバートルのメディア『The UB Post』より)

モンゴルの視点から見た国際ニュース、また同国社会の政治的・経済的ニュースを取り扱う現地モンゴル・ウランバートルのメディア『The UB Post』より翻訳・編集してお伝えする。

 

32回に及ぶ改正も…なぜ議論はまとまらない?

モンゴルで長年議論されている土地に関する法案。いつまでも不明瞭な理由には、モンゴル国民の多くを占める遊牧民、農業従事者などを議論の場に入れていないことも大きな問題だというが──。

 

11月下旬の国会本会議で、土地法改正案とその他関連法案が審議された。

 

2003年の制定以来、土地法は32回に及ぶ改正が行われている。現在、60以上の法律と約200もの規制が土地関係におけるさまざまな動きを制限しており、法的枠組みに重複、ギャップ、矛盾を生じさせている。この現状において、法案提出者は、土地関係を統制するための統一的な法的枠組みを作る必要があると考えている。

 

法案に従って、新しい土地の割り当ては、モンゴル発展のための長期・中期・短期別の政策文書に沿って計画されることになる。また、関係省庁および市民は、土地管理計画文書に対して意見や提案を申し立てることが可能となる。

 

改正案では、統合的な土地計画と登記により部門間の調整が確保されることが規定されている。この法案では、土地の所有権を持つ市民や法人の法的権利が保護されることとなる。さらに、建設都市開発省のS・マグナイバヤル国務長官によると、今後土地保有に関するデータは、透明で迅速かつアクセス可能な電子システムを通じて組織されるようになるとのこと。

 

「市民と法人は、『電子土地取引所』を通じて土地を所有し、取引できるようになる。人々は、自分の土地を土地権利を持つ限られたモンゴルの法人に譲渡することも可能となる。法改正案では、国有地も民法に沿ったものにする予定だ。公営住宅や複数所有者の建物の土地の所有者には、共同土地所有権が付与される」(マグナイバヤル国務長官)

議論の場に「遊牧民、農業従事者がいない」問題

本会議の中で、国会議員のG・ガンボルド氏は「人々が苦しんでいるのは、それぞれの地区が土地に関する三者協定を結ばないからだ」とコメントし、また法廷に持ち込まれる問題の23%が土地紛争に関連していると述べた。彼は、今回の法案提出者が主な土地紛争への対処に焦点を当てていないことを強調した。

 

同国憲法に次ぐ最重要法律が土地法である。しかし現状、この法律の改正草案の根拠が不明瞭だ。どのような根拠で改正されるのか──この根拠を明らかにするには、遊牧民、農業従事者、地域社会の代表が参加しないまま議論されてきたことはこの国にとっては大いに問題である。

 

その上、トゥブ県には、人口が集中している。この県は、周辺のすべての県と国境紛争を抱えている」と国会議員のツヴァイ氏は表現した。S・マグナヒレン国務長官は、「土地の規制と立法に約60の重複があることがわかったので、土地法の改正に着手した」と答えた。

 

この記事は、GGOが提携するモンゴル・ウランバートルのメディア『The UB Post』が2022年11月18日に掲載した記事「Land bill to allow citizens to own land through digital exchange」を翻訳・編集したものです。

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