石炭輸出の増加における影響
記者:最近、石炭輸出の物量が増加しています。石炭輸出の収益は、今年の経済成長に大きな影響を与えると予想されています。これに関してはどのようにお考えですか?
デンベレル氏:まず、経済を鉱業と非鉱業に分けて考えることが必要です。経済全体を見ると、経済成長は鉱業部門だけが牽引しているわけではありません。農業や貿易・サービス業など多くのセクターの成長が影響しています。
もちろん、石炭輸出の物量が増えることが良いことなのは間違いありません。これは、輸出が輸入を上回ることにつながり、対外貿易利益増加のための好条件を生み出す可能性があります。モンゴルのインフレ率16.1%のうち、輸入品の価格上昇は9.2%を占めました。モンゴル銀行は、金融政策によって輸入インフレ率を下げることはできません。しかし、政府が関税の回転率を上げ、貿易を促進することによりそれを減らすことはできます。
首相は、モンゴルの主要な輸入相手国と話し合い、インフレを効果的に抑えるために彼らが直面している障害や圧力を見直す必要があります。過去30年間、輸出の90%は鉱業製品でした。最近になってようやく、非鉱業製品の輸出における課題について話し始めました。
しかし、実際のところは現状、何の対策もとられていません。鉱業製品の輸出が多くを占めている他の国々をみると、鉱業製品は価格上昇すると経済の他セクターを支え始める傾向にあります。モンゴルが大型プロジェクトを強化し、鉱業以外の輸出に力を入れる時期に来ています。それが経済改善に大きな影響を与えると予想されます。
現在、政府には非鉱業部門の輸出を向上させる「動機」も「仕組み」もありません。政府の支援なしに、独自に動いている産業もあります。特にカシミヤは、国際的なブランド力を持つレベルに達しています。政府は、非鉱業部門の輸出を改善・拡大するための議案を考えるべきです。
モンゴル銀行は、2022年の金融政策に非鉱業国の輸出を支援する条項を盛り込みました。銀行と政府は、今年の9月か10月に非鉱業輸出業者のためのフォーラムを開催する予定です。このフォーラムでは、非鉱業部門の輸出の割合や種類を増やすために必要なアイデアや方法について議論されます。
また、自由競争のメカニズムと融資の問題についても議論される予定です。多くの対外貿易金融手段は、他の国でも使われています。このフォーラムを通じて首相は、「わが国が輸出立国になるべきだ」というメッセージを伝えるべきだと思います。モンゴルは輸出国のように見えますが、鉱業製品が大半を占めており、非常に偏りがあります。
モンゴル銀行の主な役割は、20年前に法律で定められた国家通貨の安定を確保することです。しかし今、この概念は国際的に変化しています。他の国々は物価の安定を図るようになりました。中央銀行も物価の安定に力を注いでいます。3年前、モンゴル銀行はこの件について法律に盛り込もうとしましたが、国会はこれを支持しませんでした。
このことは、銀行の独立性が確保されていないことを示しています。他国の中央銀行法には、その総裁が不適切な行いをしたら解雇できるような規定はありません。しかし、我が国の法律にはそのような規定があります。同法は、中央銀行が政府から独立して運営されることを定めています。しかし、新型コロナウイルスに関する法律は、銀行の独立性を妨げ続けています。
銀行の独立性を確保することで、自国通貨は安定を保つことができます。それにもかかわらず、我が国の国民は、「自国通貨の安定を確保することは、インフレを低く抑えるという目標を達成するだけでなく、為替レートを維持することでもある」と誤解しています。為替レートは法律に従い、市場原理に従って決定されなければならなりません。
モンゴル銀行は、過度な為替変動を排除するために、公式の外貨準備高に介入しています。同銀行は外貨準備高を増やすように圧力をかけられています。しかし法律では、「中央銀行がモンゴルの公的外貨準備を管理する」としか書かれていません。外貨準備高は輸出を増やすことで増やせます。つまり、これは政府の仕事なのです。