個人レベルでは、どんな対策ができるのか?
家の精:完全成果主義と、売主サイドの知識不足。大きくこの二つが、無責任な体質を生んでしまっているんだな。
アサミ:でもこれって……どうしようもないわよね。成果主義なのはビジネスだからって見方もできるし、売主側が知識ないのも仕方がないし。
家の精:そう。だからこそ、この悪循環を打破するため、新しいことを始める勢力の台頭が期待されているんだよ。
このような問題を解決する一つの手段として、制度の見直しがあります。
例えば業者が両手で稼ぐために躍起になる双方代理。これはアメリカでは「利益相反に該当」するため原則禁止となっています。日本でも不動産取引の双方代理を禁止するよう制度が見直されれば、不動産仲介業の問題が一つ、解消される一端となります。
制度の見直しによって、これまでは聖域化されていた不動産業界の闇の部分にメスが入れば、売主が大きな損失を被るようなケースは減っていくと予想されます。
アサミ:なんでこれまでほとんど制度の見直しなどがなかったのかしら。
家の精:それは政界と不動産業界の黒い癒着が……これ以上言うと俺の身が危ういから黙っておこう。
制度的な話はここまでとして、個人レベルではどういった対策ができるのかについても言及します。一言で言ってしまえば、「知識のある人を味方につける」ことが効果的です。
不動産鑑定士や税理士、あるいは建築関係の会社の人など、不動産業界に精通していて知識をもっている人に相談することで、理論武装ができ、仲介業者のいいようにされずに取引を進めていくことができます。現代では、専門の士業に就くプロたちが個人の不動産取引のアドバイザーとして、クライアントの利益が最大限になるようサポートするビジネスモデルも確立されつつあります。
不動産業界の閉鎖的な気質を改善する一番の治療法は、業界外の人間が切り込んでいき、新しいかたちのビジネスモデルを提案確立していくことにほかなりません。その一環として、不動産ではなく建設業界出身の私たちも、さまざまな方面から関わっていき、新しい風を吹かそうとしています。
最後にもう一度、念を押しておきます。
決して不動産仲介業者をあなたの味方と思ってはいけません。専任媒介契約を結んだ瞬間、仲介業者の思うようにしかなりませんし、売主が最大限の利益が得られる期待は限りなくゼロへ近づいてしまいます。
しかも仲介業者はほぼ素人の可能性が大ですから、売主の損益に関わることは詳しく説明しません。というか、知識がないので説明できません。「不動産売却」というゴールは同じでも、仲介業者は契約を取ることだけに必死であって、あなたの味方ではないと思って付き合うようにしてください。
露木 裕良
一般社団法人「不動産売却支援ネット」 理事長
「不動産高く売りたい.com」 サイト運営
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