「親子だから」とお金のやり取りをしないでいると…
親の保有する土地に収益物件を建築し不動産事業を営んでいた長男。親子の関係なので地代のやり取りはしていなかった。
親が亡くなり土地を相続することになった。親の保有だった土地は「評価減なし」の自用地評価となってしまったため、多額の相続税納付が発生してしまった。
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家の精:「親子だから」という理由から土地利用に関するお金のやり取りをしていなかったら、相続時に思わぬ納税額を負担することになったケースだな。
アサミ:この場合は、事前に親子の間でも地代のやり取りをしていれば、こんなことにはならなかったということね。
家の精:地代として子から親へお金を払っていれば、「評価減あり」の貸宅地評価となり、相続税納付が少なく済んだだろうな。
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管理会社任せで概要を把握せず、高額な相続税額に驚愕
親が亡くなり収益物件のアパート1棟を相続。管理運営は親と管理会社が実施していたため、その詳細について相続人はまったく把握していなかった。
相続時点で貸付割合が60%になっていた。そのため土地の価値が想定よりも高く評価されてしまい、多額の相続税納付が発生してしまった。
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家の精:「貸付割合」というのは収益物件の使用率みたいなもので、この場合はアパートだから要するに入居率ってことになるな。
アサミ:入居率が100%の満室だったら、相続時の土地の価値がもっと低い評価になって、相続税の納付額も少なくて済んだのね。
家の精:事前にリフォームや営業活動に力を入れて入居を確保するとか、もしくは売却も視野に入れておけば、こんな失敗はやらかさなかっただろうな。
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特例を適用したら、売却益の約95%相当が課税対象に
自宅用の土地建物を相続したが、引き続き自宅として使用する意向はないため売却を検討する。しかし購入時や建築時にかかった費用の資料が残っていないため、土地建物の正確な価値は分からなかった。そこで不動産の「譲渡所得の特例」を適用し、売却価格の5%を取得価格として申告。売却益の約95%相当が課税対象となってしまった。
あとになって謄本等を確認したところ、抵当権の設定金額から土地の取得価格や建物購入額を推測することができた。これを基にして取得価格を申告していれば、課税対象となるのは売却益の50%程度にとどめることができただろう。
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アサミ:土地建物の取得価格が分からなかったせいで、負担額が増えちゃったのね。
家の精:事例のように謄本はもちろん、当時のパンフレットや不動産のチラシ、購入時のメモや通帳の出金記録なんかがあると、取得価格を推測できるぞ。こういった事前の準備をしておかないと、事例のように特例が適用されて、多額の納税が必要となることもある。気をつけないとな。
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大正時代の取得価額で申請したら、すごい納税額が…!
先祖代々の土地を相続したが、使用しないため売却を検討。取得時の書類は保存されており、大正時代だったので100円(現在の価値でおよそ1億円)の購入額だった。売却価格は1億円、取得価格100円を経費に計上して申告し納税を行った。
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アサミ:真っ当な納税だと思うけど、これも失敗例なの?
家の精:経費を取得価格に該当する100円にしたのが失敗だな。さっきも出てきた「譲渡所得の特例」を適用して、売却価格の5%で申告していれば、1億円の5%で500万円の経費計上ができたことになる。納税額が減らせたんだよ。
アサミ:なるほど。一つ前は特例を適用したことで損をしたけど、今回のケースは適用したほうがお得だったということね。
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以上はあくまでよくあるケースで、ほかにも節税効果を得られる方策はたくさんあります。
相続税が発生する際は、きちんと専門家に依頼することを推奨します。依頼に伴う手数料はかかりますが、そのほうが結果的に大きな節約につながることでしょう。
露木 裕良
一般社団法人「不動産売却支援ネット」 理事長
「不動産高く売りたい.com」 サイト運営
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