(写真はイメージです/PIXTA)

相続が起きると、不動産の名義変更手続きが必要となります。面倒な手続きだからといって放置してしまうと、あとあと取り返しがつかないことになることもあると、Authense法律事務所の堅田勇気弁護士は言います。手続きを放置してはならない理由、名義変更の流れや必要書類、もし自分で手続きを行う場合の条件、かかる費用の相場など、実際の手続きの際の様々な疑問点を詳しく解説します。

相続で不動産の名義変更が必要な理由

土地や建物といった不動産を持っていた身内が亡くなると、その不動産の名義変更が必要となります。しかし、正直なところ不動産の名義変更を面倒に感じたり、費用をかけてまで名義変更をする意味があるのかと考えてしまったりする方もいるのではないでしょうか?

 

しかし、相続が起きたらできるだけ早く不動産の名義変更は済ませておくべきだといえます。その主な理由は、次の2点です。

 

第三者に自分の権利を主張するため

売買など不動産についての取引をする際には、本当にその取引相手が不動産の所有者であるのかどうかを確認したうえで取引することが一般的です。

 

せっかく相続で不動産を取得したにもかかわらず、名義変更の手続き(「相続登記」といいます)をしないままでいると、そのあいだに他の法定相続人が自分の名義を登記してしまい、その登記を信じた第三者に勝手に売却されてしまうかもしれません。

 

たとえば、法定相続人が長男と二男の2名で、長男がその不動産を長男が取得することとなったにもかかわらず、名義変更手続きをしないままでいるあいだに、二男が勝手に二男の法定相続分である2分の1の持分を登記して、その分を第三者に売却してしまうなどです。共有持分の売買が一般的によく行われるわけではありませんが、万が一このような事態が生じれば、売却されてしまった持分を取り返すことは困難となります。

 

こうしたトラブルを防ぐため、やはり不動産を取得したらできるだけすみやかに名義変更の手続きを済ませておいたほうがよいでしょう。

 

故人名義のままでは売却などができないため

不動産を売却したり抵当権などの担保に入れてお金を借りたりするためには、不動産の相続登記が済んでいなければなりません。故人名義のままの不動産は、そのままでは売却や抵当権の設定などの登記ができないためです。

 

たとえ当面は売却や担保提供の予定がなかったとしても、将来このような事情が生じた際にはきちんと相続登記をする必要が生じます。

 

相続が起きてからいざ相続登記をしようとした時点までの期間が長ければ長いほど、名義変更手続きが大変になってしまう可能性が高いでしょう。なぜなら、元々の相続人が死亡して代替わりが起きていたり相続人が認知症になっていたりなど、事情が変わっている可能性が高まるためです。

 

時間が経ってからの相続登記はより手間がかかる可能性が高いため、不動産の取得が決まったらできるだけすみやかに名義変更をしておくことをおすすめします。

 

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