不動産名義変更に期限はある?
相続での不動産名義変更には、従来、期限はありませんでした。しかし、2021年に成立した改正不動産登記法などにより、2024年度以降は期限が設けられることとなっています。
2021年時点では相続での不動産名義変更に期限はない
相続登記は本来、不動産を取得した人の権利を守るために行う手続きです。そのため、2021年時点では特に期限は設けられていません。
とはいえ、きちんと名義変更をしておかなければ、上で記載をしたとおり第三者に自分の権利を主張できないなどのリスクが生じます。期限がないからといって手続きを先送りにしていてはトラブルの原因となる可能性がありますので、不動産を取得することが決まったら早期に手続きを済ませるようにしましょう。
2024年度以降は3年以内の名義変更登記が義務化される
相続手続きをしないままで放置されて、もはや現在の所有者がわからなくなっている「所有者不明土地」が急増し、社会問題となっています。
そのため、相続登記を義務化し期限を設ける不動産登記法などの改正法が、2021年に成立しました。改正法の施行は、2024年度中となる予定です。
改正法の施行後は、「自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から3年以内」に相続登記をすべきこととされます。正当な理由のないまま期限を超過した場合には、10万円の過料の対象となる可能性がありますので、今後は期限にも注意しつつ手続きを進めるようにしましょう。
不動産名義変更は自分でできる?
相続での不動産名義変更を自分でおこなうことは、特に法令などで禁じられているわけではありません。
そのため、司法書士へ依頼して名義変更を行うことのほか、自分で手続きをすることも選択肢のひとつとなります。
しかし、不動産の名義変更は決して簡単な手続きではありません。
費用と手間、リスクなどを総合的に考慮のうえ、自分でおこなうのか司法書士へ依頼するのか検討されるとよいでしょう。
自分で不動産名義変更をするための条件
自分で不動産の名義変更をすることに、法的な条件はありません。
しかし、現実的にいえば、自分で不動産名義変更をするためには次の5つの条件をすべて満たす必要があるでしょう。
1.数次相続が起きているなど複雑な案件でないこと
数次相続とは、数回にわたって相続が繰り返されている状態です。
たとえば、「名義変更をしようとする不動産が最近亡くなった父の名義ではなく、先代の祖父名義になっているような場合」がこれに該当します。
数次相続が起きている場合には、自分で不動産の名義変更をすることはおすすめできません。
なぜなら、数次相続が起きている場合の名義変更手続きは申請書の記載方法なども特殊であり、かつ必要書類なども多くなるためです。
2.書類を正確に作成することができること
不動産の名義変更をするには、書類を正確に作成する必要があります。
法務局で聞いても、イチから申請書の書き方の指導まではしてくれないことが一般的です。
そのため、自分で調べながらある程度正確に書類を完成させられることが、自分で名義変更をするための条件のひとつといえるでしょう。
相続登記を長期間していないことによって、この間所有権者に住所の変更があった場合など、相続登記以外の登記も必要となる場合もありますから、どのような登記手続きが必要かについて正しく判断できなければ、書類を正確に作成することも難しいでしょう。
3.平日の日中に何度も時間を取ることができること
法務局や書類を取得する際に訪問すべき役所は、原則として夜間や土日祝日は開庁していません。
なかでも、法務局は登記の申請時はもちろん申請前の登記相談や申請後の補正などで、平日の日中に何度も出向く必要が生じるでしょう。
そのため、平日の日中にある程度自由に身動きが取れることが、自分で名義変更をする条件のひとつとなります。
4.不動産の名義変更を急ぐべき事情がないこと
自分で不動産の名義変更をする場合、申請書の記載方法を調べたり必要書類を集めたりといった手続きに時間がかかることが一般的です。
加えて、申請後も修正の必要が生じ、さらに時間がかかる場合が少なくありません。修正にあまりに時間を要する時には、法務局から一度登記申請手続きを取り下げるよう指示を受けることもあります。
そのため、たとえば「その不動産の売却を控えている」など不動産の名義変更を急ぐ事情がある場合には、自分で登記手続きをすることはおすすめできません。
5.専門家のアドバイスを必要としないこと
相続での不動産名義変更にあたって、たとえば「被相続人である父名義の不動産を母名義にすべきか長男である自分名義にすべきか」など、専門家のアドバイスをもらいたい場合もあるでしょう。
法務局で行うことができるのは、あくまでも登記手続きの相談のみであり、手続きの前提となるこのような相談には乗ってもらえないことが一般的です。
専門家のアドバイスが欲しい場合には、専門家へ手続きを依頼すべきでしょう。
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