「お買い得物件」を探さない
投資家として当然の心理といえますが、人は投資対象を探すときにどうしても割安なものがないか探してしまいます。その価格が適正あるいは割高ではないことを検討するのはもちろん必要ですが、しかし正直なところ、すぐに転売できるほど割安な物件を探そうとするのは時間の無駄です。
不動産には理由がなく割高な物件はあっても、理由がなく割安な物件はないからです。
特に都心の不動産については、売買事例が多数あるため相場が明確に決まっています。にもかかわらず割安な価格に設定されているものには、必ずなにかしらの難があると考えるべきです。
例えば、購入したあとに大規模修繕やエレベーターなど高額設備の更新が間近に控えている場合が考えられます。こうした隠れたポイントは不動産に関する豊富な知識と経験がなければ判断することができません。価格の割引に転嫁された瑕疵(かし)は予測がしづらく、収支の予測に狂いを生じさせる要因になります。
不動産投資を始めたばかりであれば、相場どおりの価格の物件を購入(相場どおりに購入するだけでもそれなりの知識が必要です)し、不測のリスクについては避けたほうが無難といえます。
「めったに出ない」割安なボロビルを購入したCさん
Cさんはやり手の飲食店経営者です。雇われ店長だった時代から培ってきた多方面の人脈を活かした独自の仕入れルートを開拓することで、独立してからも大きな利益を上げて多店舗展開を実現してきました。
そのため、不動産投資においても飛躍的に資産を増やすコツがあるはずだと考えていました。
Cさんはある日、インターネットのポータルサイトで割安な物件を見かけて、掲載していた不動産会社に相談のアポイントを取りました。
不動産会社のオフィスで詳細を聞くと、「都心のオフィス街でこんなに割安な物件はめったに出ません」と担当者から説明がありました。Cさんが見つけたオフィスビルは周辺の同条件のビルと比較すると価格が2割程度安く、ボロボロではありますが駅近の立地であるため、確かにリフォームをすれば高い賃料を得ることができそうです。
「お得な物件だ」と確信したCさんはたいへん喜び、初心者の自分に周辺相場や立地の特性を丁寧に説明してくれた不動産会社に非常に感謝して即購入を決めました。
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