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日本の円借款が中国で果たした役割
■円借款が中国を育てた
中国がここまで経済成長をしていくうえで、外国のハードカレンシー(外国為替市場で他国通貨と自由な交換が可能な、つまり高い信用を得ている通貨)はキモになりました。それはなぜでしょうか。
単純に考えてみて、中国人民銀行(中央銀行)がお金をジャンジャン発行して、それを政府に差し出し、さらに政府が国債を発行してもよかったわけです。人民銀行が引き受ければ済む話ですから。そしてそれで得た資金でインフラ投資をして、賃金を払い、資材を買えば経済は成長していくということになります。
しかし、それをやってしまうとどういうことになったかというと、まず通貨の発行量だけが膨張します。お金というものは、いったん誰かに支払われても、最終的には銀行の口座に還流してきます。
そのお金が融資に回れば、また新しい事業が動き出して需要をつくり出しますが、改革開放路線を始めた1970年代末から1990年代までは需要をつくり出しても中国自身には供給能力が不十分でした。つまり事業を始めようにも必要な技術やそれを取り込む外貨が不足していたのです。
当時の中国は増大する消費需要に対して生産能力が乏しいわけですから、相対的にお金の量に対してモノの供給能力がないということになります。それで需要がものすごい超過になりますから、その求められている物資の値段がバーンと上がる、つまりインフレになります。
1989年6月には学生を中心にした民主化運動が盛り上がり、人民解放軍が出動して多くの若者や市民が虐殺された「天安門事件」が起きました。その背景には高インフレがありました。市民の不満が高まっていたのです。
ここで重要なのは外貨の果たす役割です。発展途上国の場合、自国通貨に対する信用は海外ではもちろん、国内でも弱い。つまりただの紙切れに成り下がる危険に直面しています。現代の中国の人たちも、まずはドルや金を欲しがり、マンションなど不動産を保有したがります。人民元の資金をそれらに替えようとします。
長い間、内戦や悪性インフレに悩まされてきた歴史を考えると無理もないことです。ということは、モノに対してカネの価値が下がる高インフレになりかねないわけです。