(画像はイメージです/ココナラ法律相談)

夫婦の一方が単身赴任をしている場合の離婚率は、同居している夫婦よりも高くなる傾向があります。単身赴任中の寂しさや開放感から、つい浮気や不倫に手を出してしまうケースは少なくありません。そこで実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、池本直記弁護士に単身赴任中の離婚問題について解説していただきました。

結婚20年、単身赴任中の夫から離婚を迫られ…

相談者のTさん(女性・仮名)は、婚姻期間20年になる単身赴任中の夫から、一方的に離婚を迫られてしまいました。Tさんの夫は大企業勤務で勤務年数23年、途中退職の予定はありません。

 

そこでココナラ法律相談「法律Q&A」に、次の3点について相談しました。

 

(1)離婚する場合、定年後の退職金は財産分与の対象になるのか。また対象になる場合、退職金額は、離婚時・退職時のどちらの役職が考慮されるのか。

 

(2)単身赴任から帰らずに離婚した場合、その日から別居とみなされ婚姻期間には含まれないのか。

 

(3)婚姻費用を計算するために必要な給料明細等を、相手方が見せてくれない場合の対処法はあるか。

財産分与における退職金の取扱い

1. 退職金は財産分与の対象となるか

退職金は、賃金の後払いとしての性質を有しています。したがって、婚姻期間中に相当する部分の退職金は、夫婦が共同で築き上げた財産ということができるので、財産分与の対象となるという考え方が一般的です。もっとも、相談者の場合、勤務年数23年で途中退職の予定はないとのことですから、現実に退職金が支給されるのは、10年以上先のことになります。

 

このように、退職金が現実に支払われるのは相当先のことである場合に、退職金を財産分与の対象にすることができるのかが問題となります。

 

この点について、実務上は相当先に支給される予定の退職金であっても、支給の蓋然性(がいぜんせい)が高い場合には、財産分与の対象になると考えるのが一般的です。支給の蓋然性(がいぜんせい)が高いかどうかは、勤務する会社の就業規則(賃金規程)等から判断することになりますが、就業規則上、退職金が支払われることが明らかであれば、支給されるのがかなり先であったとしても、財産分与の対象とすることができると思われます。

 

なお、異論もありうるところであり、異なった考え方を採用する裁判例もあります。

2.財産分与における退職金の計算方法

次に、退職金が財産分与の対象になるとして、退職金のうちどの部分が財産分与の対象になるのかが問題となります。退職金は、賃金の後払い的な性質を有するので財産分与の対象になるのですから、退職金のうち、婚姻期間に相当する部分のみが財産分与の対象になりますが、現実に退職金を受領するが相当先であるケースでは、どのような方法で金額を算定するのでしょうか。

 

この点については様々な考え方がありうるところですが、一般的には次のように考えられます。

 

まず、財産分与の基準となる時点において自己都合で退職した場合の退職金の金額を算定できる場合には、同金額に、基準時までの在職期間のうち婚姻関係にあった期間の割合をかけあわせて算出します。たとえば、1990年から勤務を開始、2000年に婚姻し、2018年に別居した場合で、2018年に自己都合退職した場合の退職金が300万円だとすると、300万円×18(婚姻期間)÷28(在職期間)≒193万円が財産分与の対象となる金額となります。

 

会社の退職金規定上、基準時時点の退職金の金額が算定できず、将来の退職時点の退職金の金額しか算定できない場合には、退職金の金額のうち、婚姻期間に相当する金額から、中間利息を控除(簡単にいうと、将来もらえるお金を現在の価値に引き直すようなイメージです)した金額を財産分与の対象とするのが一般的ではないかと思われます。

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