(画像はイメージです/ココナラ法律相談)

浮気問題の慰謝料請求においては、証拠の確保がとても重要になります。ただ、何が有効な証拠であるかは法的知識がないと分かりづらく、集めていた証拠が思っていたよりも重要ではなかったということも多分にあります。そこで実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、春田藤麿(ふじまろ)弁護士に解説していただきました。

夫が職場の後輩と浮気!証拠には何が有効?

相談者のRさんは、夫が職場の後輩女性Yさんと浮気していることがわかり、証拠を集めています。

 

証拠としてRさんが持っているのは、以下の3点です。

 

①夫とYさんのLINEのやり取りのテキストデータ

 

具体的な内容としては、2人で食事に行ったり、Yさん宅に頻繁に訪問している様子、「一緒に寝よう」などのやりとりがありました。ただ、明らかな肉体関係を示すやりとりを確認できていません。

 

②Yさん宅へ夫が訪問した履歴

 

夫のスマホのGPS位置情報データと、何時頃帰宅したかのメモ、Yさん宅の駐車場に停まっている夫の車を写真におさめてあります。週2〜3回訪問しているようですが、遅くとも深夜には帰ってきており、宿泊の様子はありません。

 

③Yさん宅で夫が撮った、Yさんの写真(トイレ中など)写真

 

位置情報が添付されており、Yさん宅であることが証明できます。

 

しかし職場の後輩であるため、不貞行為の証明に不十分なのではと危惧しております。そこでRさんは夫の浮気の証拠について、ココナラ法律相談「法律Q&A」に次の2点について相談しました。

 

  1. 上記の証拠で不貞行為の証明は可能なのか。また不足している場合、どのような証拠があればより強固な証拠となるのか。
  2. これまで集めた証拠に関して、プライバシー侵害などに該当する可能性はあるのか。

一般的な感覚から不貞行為を証明できる可能性がある

不貞行為の中核となる行為は性行為ですから、性行為を証明できるかを検討することになります。

 

相談者のRさんのように肉体関係を示す明らかな証拠がないケースは多くあります。このようなケースでも、様々な状況証拠を総合して、一般人の感覚を基準として、不貞行為があると判断できれば不貞行為の証明が可能です。

 

確かに2人で食事に行ったという事実だけでは、不貞関係になくとも、友人や同僚と2人で食事に行くことは一般にありますので不貞行為を証明することはできません。

 

他方、LINEのやり取りやGPSの位置情報データ、何時頃帰宅したかのメモ、Yさん宅の駐車場に停まっている夫の車の写真から、夫がYさんの自宅に頻繁に訪問し、短くない時間、しかも夜遅くまで滞在していることを証明できます。

 

Yさんの自宅内で夫がYさんを撮影した写真がありますので、Yさんの自宅には訪問していないという反論は通用しません。

 

そして、職場の後輩女性の自宅に夜間に頻繁に訪問するということからは、性的関係があるのではないかと推認するのが一般人の感覚です。加えて、その文脈にもよりますが「一緒に寝よう」というやり取りの証拠がありますので、一層、性的関係が推認されます。

 

更に、トイレ中の写真はよほど特殊な事情がない限り、何ら性的関係にない職場の異性である先輩に見せることのない状況を写した写真ですから、性的関係の存在を強く推認させます。

 

以上のとおり、Rさんがお持ちの証拠だけでも夫とYさんとの性行為、不貞行為を証明できる可能性は十分にあります。しかし、いずれも状況証拠のため裁判所は不貞行為を認定しない可能性もあります。

 

LINEのやり取りの中に、「愛している」や「好き」などお互いに恋愛関係にある人同士が示す愛情表現があれば、上記の各状況証拠と合わせて、一般人の感覚を基準とすれば性的関係があると強く推認されますので、不貞行為を証明できる可能性は一層高まります。

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