子離れできない親が悪いのか、自立できない子どもが悪いのか

【特別対談】石田淳・行動科学マネジメント研究所所長(後編)

子離れできない親が悪いのか、自立できない子どもが悪いのか
(※写真はイメージです/PIXTA)

欧米では18歳になったら自立させることが一般的です。日本でも年齢を決めて、親は何歳までは関わって何歳からは自立させると一線を引いたほうがいいのではないでしょうか。歯科医師の成田信一氏が行動科学マネジメント研究所所長の石田淳氏と特別対談で語ります。

親がイキイキと自分の人生を過ごすこと

成田 これまでの日本の受験は、決まったものをこなすことが重要視されてきたと私は思います。偏差値の高い学校の生徒なら考える力があるかというと、必ずしもそうではない。というのは今の日本の受験では、与えられたものを効率よくこなしている子が点数を取れるので、そういう子が自分で考えて行動しているかというとちょっと違うと思います。

 

特に親が子離れできておらず何でも準備して、その与えられたものをこなしていくのが得意な子が、中学受験でも結果が出ているように思います。さらに今は大学受験でも同じようなことが起きている。これでは受験の内容や授業の内容が変わっても、親が変わらなければ、子どもたちの未来もないように感じます。

 

石田 大学入試や、新卒の就職の時も親も出席したり、採用試験で合格した時の辞退の電話を親がしたりと、べったりですね。子どもの就職先企業を親が選ぶ家庭もあるようです。そういう家庭では、子どもも「次、何やればいいの?」と指示待ち人間になってしまったり、他人から少し注意されただけで「責められた」としゅんとなってしまったり……。

 

今の時代は特に、母親との子離れが重要だと思います。欧米では18歳になったら自立させることが一般的です。日本でも年齢を決めて、何歳までは関わって何歳からは自立させると一線を引いたほうがいいですね。そのための一つの提案としては、親自身が趣味を持つことです。昔は子育てして60歳ぐらいになったら亡くなることが多かったわけですが、今は60歳で亡くなる方は少ないですからね。親は自分自身の人生を100歳までどう生きていくのか、それについても考えてもらいたいですね。夫婦で話し合って、一緒に何かする機会をつくってもいいでしょう。

 

成田 先日、妻とランニング指導のレッスンを受けに行ったら、平日の昼間ということもあって、私以外の参加者が女性だったんです。実力のある若手の男性講師陣が、上手にそれぞれのレベルに合わせて続けられるような指導や声かけをしていました。参加者の年齢構成もさまざまでしたが、皆さんイキイキしていました。やっぱり趣味もなく時間がありすぎることが、過干渉になってしまうのだと思います。石田さんがおっしゃったように、どこかのタイミングからは子どもには関わらないということを決めて、あらかじめ子どもにも伝えておくといいですね。

 

石田 そうですね。親が趣味や生き甲斐を見つけること。両親ともにそれを見つけてもらうのがいいでしょう。子どもは親の背中を見ていますから、親がイキイキと自分の人生を過ごしていたら、子どもも自立していくでしょう。

 

成田 子離れと違うかもしれませんが、わが家の場合は「大学の学費は自分で出すように。立て替えてはあげるけど、必ず社会人になってから自分で少しずつお金を返していくんだよ」と伝えています。受けたい大学の授業料を比較すれば、国公立のほうが断然安いことが子どもでもわかります。そうしたら、本気で興味を持てないような大学を受験しようとは思わないでしょう。そういった感覚も、生きていくためには必要だと私は考えています。

 

石田 淳
社団法人行動科学マネジメント研究所所長
日本の行動科学(分析)マネジメントの第一人者
アメリカのビジネス界で絶大な成果を上げる人間の行動を科学的に分析する行動分析学、行動心理学を学び、帰国後、日本人に適したものに独自の手法でアレンジし「行動科学マネジメント」として展開させる。主な著書は、シリーズ累計部数40 万部のベストセラーとなった『教える技術』(かんき出版)ほか多数。

 

成田 信一
自由が丘矯正歯科クリニック院長
歯学博士

 

 

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※本連載は成田信一氏の著書『自分で考え、やり抜く子の育て方』(プレジデント社)の一部を抜粋し、再編集したものです。

自分で考え、やり抜く子の育て方

自分で考え、やり抜く子の育て方

成田 信一

プレジデント社

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