毎日の体重の計測は意味がない理由
▶Q:体重を量る頻度、正しいのはどっち?
A:毎日体重を量る
B:週に1 回体重を量る
正解はこっち! B:週に1回体重を量る
■体重に一喜一憂している自分とさよならしましょう。それが成功への近道です。
この機会にしっかり心に刻んでほしい、ダイエットの常識があります。それは、食べ物は消化されたあとすぐに体脂肪に変わるわけではない、ということです。
例えばブッフェなどで食事やデザートをたらふく食べると、次の日、バーンと体重が増えます。でもこれは、単純に「食べたものの重さ」が増えているだけで、体脂肪が増えたからではありません。洋服をきたら体重計のメモリが増えるのと一緒です。
食べたものはすぐにエネルギー源として使われるので、適正量を食べていればその日のうちに消費されます。これが消費しきれないと体脂肪に変わり、余剰エネルギーとして体に蓄積されます。その変化に要する時間は約2週間。その前の時点ではまだ、食べたものは体脂肪にはなっていません。目方は増えていますが、太ってはいないのです。
「昨日、ビールをガマンしたから体重が減った!」「食後にケーキを2つ食べてしまったから体重が増えた……」などとつぶやく人がいますが、これは勘違い。
油断してドカ食いしたり、ショックを受けて落ち込んだりする前に、食事をコントロールしたり、体を動かしたりして、体脂肪に変わる前に余分な摂取カロリーを使い切ってしまいましょう。
毎日体重を測る人は、常に変動する数百グラムに敏感になりがちです。体重や体脂肪率は、たしかにわかりやすい目標ですが、よい数値はモチベーションを上げる一方、ネガティブな数値は「食事の量を節制しているのに体重が減らない」「順調に体重が減っていたのに急に増えた」など、やる気の低下につながってしまいます。
体重を量る行為そのものには、体に意識を向ける効果がありますが、ぜひ、数字を追うのではなく体の変化を見る、という考え方にシフトしましょう。そして体重は、毎日記録するのではなく、週1回「確認する」ぐらいの気持ちで量るのが適当です。
体脂肪や筋肉が増減し、体が変わるまでには2、3か月を要します。週1日の体重、体脂肪の推移を記録して、2か月、3か月単位で見ると、体の本当の変化が見えてきますよ。
さて、体重の「増」に触れたので「減」の考え方についてもお話ししましょう。
体脂肪は一晩で増えない代わりに、一晩で減ることもありません。厳しい食事制限をしても体重が落ちるのは一時の「現象」。通常の食事に戻したら、あっという間に元どおりです。
人の体にはもともと、恒常性(ホメオスタシス)という機能が備わっています。これは、体温や血圧、血中のホルモン濃度など、脳が適正と判断した数値を維持しようとするシステムです。
そして体重にも、脳が適正と判断する値があります。だから、極端な食事制限で一時期体重が減っても、脳は体が消費するエネルギーを減らしたり食欲をコントロールしたりして、なんとか元の体重に戻そうと働きます。
ですから、食事を戻したとたん、元の体重にリバウンドするのです。
私たちトレーナーが、極端な食事制限で短期間によって体重を落とす方法をすすめない理由はここにあります。
意志が強い、弱いにかかわらず脳が勝手に「食べたい」「戻そう」とコントロールしてしまう。これに抗うには、少しずつ体重を減らし、新たな適正体重を脳に刻むしかありません。
ちなみに、「1か月にマイナス3キロ」を目標値にする方が非常に多いのですが、これは完全にリバウンドコース。なぜなら、1か月で皮下脂肪だけを3キロ以上も落とすのは理論上不可能だからです。もし3キロ減ったとしたら、実は筋肉も一緒にゴッソリ落ちています。
リバウンドしにくい減量ペースは、体重でいうと1か月にマイナス1~1.5キロ程度※です。「たったそれだけ!?」という落胆の声が聞こえそうですが、今ある体脂肪は長い年月をかけて蓄積したもの。結局はじっくり、コツコツと燃やしていくのが、一番の近道です。
※もとの体重が100キロに近いなど非常に重い方は異なります。
中野ジェームズ修一
PTI認定プロフェッショナルフィジカルトレーナー
米国スポーツ医学会認定運動生理学士
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