都市データプラットフォームでメーヒア自治体を地図上に表示(写真:Patcharee Luenguthai)

タイの公共放送局『Thai Public Broadcasting Service』 (Thai PBS) が運営する英語ニュース・サイト『Thai PBS World』より、同メディア独自分析を交えた現地情報を翻訳・編集してお伝えする。

45日間必要だった手続きをわずか「2時間」に短縮

タイの一部自治体では、急速に進む都市化の影響を懸念し、地域住民に新たな機会を提供、都市開発をよりスムーズに推進するための解決策を打ち出しています──。

 

国立高等教育科学研究イノベーション政策会議(NXPO)で策定されたエリアベース開発に関するプログラムマネジメントユニット(PMU-A)の戦略計画のもと、チェンマイ、プーケット、ラヨーンの3つの町が、スマートテクノロジーとイノベーションの導入による新しい管理システムのモデルとして選定されました。

 

タナワット・ヨジャイ市長(写真:Patcharee Luenguthai)
タナワット・ヨジャイ市長(写真:Patcharee Luenguthai)

 

チェンマイ県にあるメーヒア市は、タナワット・ヨジャイ市長のおかげですでに大きな変化を遂げています。デジタル経済推進庁(depa)から認定されたスマートシティを目標に、デジタル改革を通じて地域を前進させています。

 

クラウドプラットフォーム上にデータベースを構築することの重要性を認識していたタナワット市長は、2015年に新しい管理システムを導入しました。現在、メーヒア市は市内サービスのほとんどをデジタル化することに成功し、幅広い公共サービスをより便利に利用できるようになりました。

 

たとえば「ワンストップサービス」では、住民が日ごろ感じている課題や問題を提出し、その問題解決の進捗状況を確認したり、また建築許可に関するプロセスもオンライン申請(但し、150平方メートルを超えない住宅)が可能となったことにより、約45日かかっていた承認プロセスをわずか2時間に短縮、そのほか廃棄物のオンライン支払いなども可能です。

 

さらに同自治体は、都市開発計画のための強力な都市データプラットフォームとして「Quantum GIS(QGIS)アプリケーション」を開発し、土地利用、医療サービス、NCDs(がん・糖尿病・循環器疾患・呼吸器疾患・メンタルヘルス等の慢性疾患の総称)患者、自治体の健康ボランティア、有害・感染性廃棄物、さらにはペットなどに関するデータを定期的に更新しています。

 

「現在、私たちはメーヒア3.0の段階にいます。私たちの目標は、あらゆる次元で効果的な都市開発を行うためにブロックチェーン技術を導入し、ピアツーピア(P2P)のネットワークに基づくシームレスな自治体に転換させることです。ウェブサイトを介したオンラインシステムから、将来的には『スーパーアプリプラットフォーム』を開発し、公共サービスを24時間利用できるようにする大望を持っています。」とタナワット氏は説明しました。

 

PMU-Aのディレクターであるキッティ・サットジャワッタナ博士は、「PMU-Aは2019年からチェンマイ大学に研究・イノベーションのために資金を提供、それをもとにメーヒア自治体のデジタル変革を支援しており、地域コミュニティ開発の推進に重要な役割を果たすことになる」と述べています。

 

これによりメーヒア市は、Covid-19の蔓延を監視、予防、制御するための Covid-free 都市プラットフォームである「3Dマッピング」や、自宅隔離および地域隔離でコロナ患者にケアを提供するための「weSAFE@Home プラットフォーム」など、さまざまな新規構想を立ち上げることができました。

 

次ページ持続可能な都市開発、必要なのは「地域住民の理解」と──

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    この記事は、GGOが提携するタイのメディア『Thai PBS World』が2022年7月13日に掲載した記事「Embracing digital-based urban development」を翻訳・編集したものです。

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