(※画像はイメージです/photo AC)

住宅購入時や賃貸物件への引っ越し時などに、火災保険同様に加入必須な保険が「地震保険」です。しかし実際に加入しても詳細などを十分に把握していない方も多く、被災時に保険を使用する際に困惑する方も少なくありません。本記事では地震保険の詳細や補償内容、必要性などを解説します。

住宅購入時や賃貸物件へ転居の際に加入が必須となる保険が「地震保険」です。実際に住宅購入や転居などを経験している方の多くが加入していますが、補償内容などの詳細を知らない方がほとんどではないでしょうか。

 

そこで本記事では地震保険について詳しく解説し、補償内容や必要性についてもお伝えします。住宅購入や転居を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

目次
1. 地震保険とは?火災保険との違いも解説
1.1. 地震保険とは地震の被害を補償する保険
1.2. 地震保険の補償対象は「建物」と「家財」
1.3. 火災保険では補償されない内容を補うのが地震保険
1.4. 地震保険のみの単独加入は不可能
2. 地震保険の補償限度額と補償内容(損害の認定)
2.1. 地震保険の補償限度額は火災保険の加入状況に依存する
2.2. 地震保険の補償内容は法律で定められている
3. 地震保険はいらない?必要性を解説
3.1. 現状の地震保険世帯加入率は約30%
3.2. 地震が多い日本では加入しておいたほうがよい
4. 地震保険はいくら?保険料の計算方法を解説
4.1. 保険料は建物の構造や地域によって異なる
4.2. 地震保険の保険料の計算方法
5. 加入前にチェックすべき地震保険の割引制度・保険料控除
5.1. 建物の免震・耐震性能に応じて割引制度がある
5.2. 地震保険では所得税・住民税の控除が受けられる
6. 地震保険が適用されないケースもチェック
6.1. 地震発生翌日から10日以上経過した場合
6.2. 避難生活中に盗難や紛失が起こった場合
6.3. 一部損にも満たない場合
6.4. 車やバイクに損害が生じた場合
6.5. 住居として使用されていない建物の場合
7. まとめ

1. 地震保険とは?火災保険との違いも解説

(※画像はイメージです/PIXTA)
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地震などの自然災害、地震に伴う津波による火災や損壊などを地震保険が補償してくれます。地震保険は住宅購入時や転居の際などには加入しておきたい保険ですが、火災保険と同時加入しかできないことも大きな特徴です。

 

火災保険と地震保険は同時に加入する保険で、火災保険は地震で発生した火災には補償を提供してくれません。一方、地震保険は地震による損害に対して十分な補償をしてくれます。したがって、地震による被害を補償してくれるかしないかが火災保険との大きな違いです。

 

地震保険とセット加入する「火災保険」について詳しく知りたい方は、『火災保険とは?補償対象や必要性、選び方のコツを解説』を参考にしてください。

 

1.1. 地震保険とは地震の被害を補償する保険

地震保険は火災保険では補償できない地震、噴火、津波に伴う火災などの被害の補償をしてくれます。地震が原因で火災が発生しても火災保険では補償できませんが、地震保険は火災保険で対応できない部分の補償をしてくれるのも大きな特徴です。

 

地震保険は火災保険とセット加入しかできませんが、双方の補償内容は大きく異なります。

 

1.2. 地震保険の補償対象は「建物」と「家財」

地震保険の補償対象は、住んでいる「建物」と居住している建物内で使用されている「家財」などが挙げられます。ただし、建物と家財の両方を同時に保証してほしい場合は、建物と家財はそれぞれ別々に加入しなければなりません。

 

一般的な加入方法としては

 

  • 建物のみの補償に加入
  • 家財のみの補償に加入
  • 建物と家財両方の補償に加入

 

などの加入パターンが考えられます。したがって、自分の状況に適した加入方法を検討しましょう。

 

1.3. 火災保険では補償されない内容を補うのが地震保険

火災保険では十分に補償不可能な部分を補償するのが地震保険です。火災保険は地震が原因で発生した火事などに対しては「火災」であっても一切補償しません。

 

しかし地震保険に加入しておけば、地震が原因で発生する火災などに関しても十分に補償してくれるので安心です。また、火災のみならず地震が原因による津波、流失、倒壊などにも対応しています。

 

このような観点からも、地震保険は火災保険で補償不可能な部分を補っている有効な保険といえます。

 

1.4. 地震保険のみの単独加入は不可能

住宅購入時や転居時において、地震保険に加入することは必須条件といっても過言ではありません。しかし単独加入は不可能ですので、火災保険と一緒に加入するのが一般的です。

 

同時加入する理由として、前述で述べたように地震保険は火災保険で補償できない部分を補償してくれる点が挙げられます。結果として火災保険と地震保険は2つで1つの役割を果たすのです。

2. 地震保険の補償限度額と補償内容(損害の認定)

(※画像はイメージです/PIXTA)
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地震保険は地震などの災害時には建物や家財などに関して十分な補償を提供してくれる有効な保険で、私たちの生活になくてはならないものです。

 

では実際の補償金額の割合について詳しく解説していきます。

 

2.1. 地震保険の補償限度額は火災保険の加入状況に依存する

地震保険の補償最低金額は火災保険の契約金額の3〜5割の範囲内で決定します。したがって、補償金額は火災保険の金額設定などの加入状況によって大きく変化していくのです。

 

たとえば購入した建物に対して3,000万円の火災保険に加入しているのであれば、地震などの被災時には900~1,500万円の補償が支払われます。

 

しかし仮に補償金額の高い火災保険に加入しても、建物では最大で5,000万円、家財では最大1,000万円までが補償上限ですので、加入時に十分確認しておきましょう。

 

2.2. 地震保険の補償内容は法律で定められている

地震保険の補償内容は法律によって定められており、支払われる保険金に関して損害の大きさ(損害区分)により金額が大きく異なります。損害区分は保険会社が入念に調査をおこない、「全損」「大半損」「小半損」「一部損」などに分類され、程度により補償金額にも差が出てきます。

 

補償金額の割合は、全損の場合地震保険の契約金額全額が支払われ、大半損では60%、小半損では30%、そして一部損では約5%が支給されます。

3. 地震保険はいらない?必要性を解説

(※画像はイメージです/PIXTA)
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地震保険は火災保険では補償できない部分を補償してくれる有効な保険であり、住宅購入時や賃貸物件へ転居する際には必ず勧められる保険です。そして加入することで、地震による被災時にもさまざまな補償を受けることができます。

 

しかし、転居したすべての方が地震保険に加入するとは限らず、なかには「必要ない」と考える方もいるのではないでしょうか。そこでここからは地震保険の現状や必要性についても解説していきます。

 

3.1. 現状の地震保険世帯加入率は約30%

日本は地震発生率が高い島国として有名です。日本列島内で地震が発生していない場合でも世界の地震の約1割程度は日本周辺で発生しているというデータが挙げられています。したがって、日本に住んでいる以上は「いつ地震に遭ってもおかしくない」状況下にあり、地震に対する十分な備えが必要不可欠です。

 

しかし、日本人の地震保険世帯加入率は約30%という低い水準にとどまっており、地震に対する備えは十分とはいえません。

 

3.2. 地震が多い日本では加入しておいたほうがよい

日本は世界各国のなかでも地震が多く発生している「地震大国」として有名です。実際にこの数十年の間にも「阪神淡路大震災」「東日本大震災」「熊本大地震」など巨大な地震が発生し、多くの方が被災しました。

 

地震保険に加入しなくても公的な支援制度として、被災者の生活再建を支援する「被災者生活再建支援制度」などがあります。しかし、最大でも300万円しか支援金が支払われませんので、復旧のための資金としては不十分です。このような観点からも地震保険への加入は重要といえます。

4. 地震保険はいくら?保険料の計算方法を解説

(※画像はイメージです/PIXTA)
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地震が多い国である日本に住んでいる私たちは常に地震に遭う危険性があるので、もしもに備えるためにも地震保険への加入は重要です。そして加入時は家計状況を十分に把握して自分に合った保険を選ぶことが大切といえます。ここからは実際の保険料の計算方法について解説していきましょう。

 

4.1. 保険料は建物の構造や地域によって異なる

地震保険は建物の形式や、加入者が住んでいる地域(都道府県)によって大きく異なります。保険料に関しては、セットで契約する火災保険の建物に対する補償次第で大きく変化します。また家財に関する補償も家財を収納している構造次第で保険料が大きく異なってくるのも特徴的です。

 

一般的に建物は耐火性に優れたコンクリート造や鉄骨造の建築物である(イ構造)と、非耐火性である(ロ構造)に分類されています。そして非耐火性である(ロ構造)のほうが(イ構造)よりも燃えやすく、地震や津波発生時に損害が大きくなる可能性が高いので保険料は高めです。

 

4.2. 地震保険の保険料の計算方法

上記で解説したように地震保険は建物の構造、加入者が住んでいる地域によって補償内容や支払金額が異なりますので、一律の計算方法はありません。そこで大まかな目安的な地震保険の保険料計算式を以下に表記します。

 

  • 月額保険料=保険料金×保険料率(基本料金×割引率×長期係数)

 

上記の「保険料率」とは建物の所在地や、建物の構造区分で大きく異なります。構造部分に関しては耐火性の高いコンクリートや鉄骨は木造などの非耐火性のものに比べて安く設定され、一般的に太平洋側の地域ほど保険料は高めです。

 

「割引率」とは保険支払い料金を抑えるための割引のことで、割引制度には「耐震診断割引制度」「建築年割引」「耐震等級割引」「免震建築物割引」の4種類があります。

 

それぞれの条件を満たしていれば条件に応じた割引が適用され、最大で50%の保険料割引が適用されるのでお得です。

 

しかし、基本的に割引制度は複数の割引を同時に適用できませんので確認しておきましょう。

 

「長期係数」とは、加入する保険の期間が長ければ長いほど値が大きくなる係数のことです。保険契約期間は最大5年となっており、保険契約期間が長いほど係数も上がり、保険料も割安になります。

5. 加入前にチェックすべき地震保険の割引制度・保険料控除

(※画像はイメージです/PIXTA)
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地震保険に加入すれば毎月定額の保険料を支払わなければなりません。また、保険料も構造や住んでいる地域次第で高額になる場合もありますが、できるだけ低額で支払いを済ませたいものです。

 

そこでここからは、地震保険加入前にチェックすべきお得な割引制度・保険料控除などを紹介していきます。

 

5.1. 建物の免震・耐震性能に応じて割引制度がある

地震保険の割引制度には数種類の割引制度があり、建物の免震・耐震性能によって割引率が異なるのが最大の特徴です。では実際の種類別の割引について紹介します。

 

5.1.1. 免震建築物割引:50%の割引

「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく「免震建築物割引」という割引制度があり、この制度が適用されると保険料の最大50%もの金額が割引されます。

 

適用されれば、保険料が大幅に軽減されますので大変お得です。しかし手続きには「建設住宅性能評価書」や「設計住宅性能評価書」などの他に多くの関連書類が必要で、時間も掛かりますので事前に準備しておくとよいでしょう。

 

5.1.2. 耐震等級割引:10〜50%の割引

「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づいた耐震等級を持っている建物や、国土交通省が定めている「耐震診断による耐震等級評価指針」に基づいた耐震等級を持っている建物に関しては「耐震等級割引」が適用されます。耐震等級割引が適用されれば保険料の10〜50%が割引されますので、月々の支払いが楽になるのはいうまでもありません。

 

耐震等級割引も適用されれば家計にとっての大きなプラスになりますが、免震建築物割引同様に多岐にわたる関係書類の準備が必要不可欠です。

 

5.1.3. 耐震診断割引:10%の割引

地方公共団体等により実施される耐震診断もしくは強度増強のための耐震改修を行った結果、改正建築基準法内の耐震基準に合格した建物には「耐震診断割引」が適用されます。耐震診断割引が適用されれば保険料の10%が割引されますので、少しでも保険料を抑えたい方にはおすすめです。

 

耐震診断割引の適用には「耐震基準適合証明書」「住宅耐震改修証明書」「地方税法施工規則附則に基づく証明書」「満期案内書類又は契約内容確認のお知らせ」などの書類が必要になります。

 

5.1.4. 建築年割引:10%の割引

「建築年割引」は昭和56年6月1日以降に新築された建物に対し適用される割引です。建築年割引が適用されれば保険料が10%割引されます。建築年割引に必要な書類には公的機関などが発行する「建物登記簿謄本」「検査済証」「建物登記済権利証」「建築確認書」などが挙げられます。

 

他にも宅地建物取引業法に基づく書類や、建築工事施工業者が交付する書類も数種類必要ですので、事前に確認をしておきましょう。

 

5.2. 地震保険では所得税・住民税の控除が受けられる

地震保険加入による負担を軽減させるには上記で述べた割引制度のみならず、所得税や住民税の控除を利用するのもおすすめです。

 

地震保険契約時に「地震保険料控除」を受けることができる特定の地震保険に加入しているのであれば、所得税や住民税の控除を受けることができます。地震保険料控除を受けることで所得税や住民税の一部が控除されますので出費を軽減することが可能です。

 

地震保険料控除には保険会社から届く「控除証明書」を添付して申告する必要があります。控除証明書は年末調整時や確定申告時に必ず届きますので厳重に保管しておきましょう。

6. 地震保険が適用されないケースもチェック

(※画像はイメージです/PIXTA)
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住宅購入時や賃貸物件へ転居時に火災保険と一緒に地震保険に加入すれば、さまざまな被害にも十分に対応できます。しかし場合によっては地震保険が適用されないケースもありますので、事前の確認が重要です。それでは地震保険が適用されないケースを紹介していきましょう。

 

6.1. 地震発生翌日から10日以上経過した場合

地震が発生しても10日以内に被害の申請をしなければ保険料が支払われません。理由としては地震が発生し甚大な被害が出ても、10日間も経過すれば地震による被害かどうかの因果関係が不明瞭になるからです。

 

したがって地震により建物や私財に被害が出た際は、大変な状況下であっても迅速に申請することが重要といえます。

 

6.2. 避難生活中に盗難や紛失が起こった場合

地震が発生し、自宅から避難地に移動して生活している間に自宅の私財などが盗難や紛失が生じた際にも保険金は支払われません。したがっていつ地震が発生して自宅を離れてもいいように、金庫などに重要な私財などを保管しておくようにしましょう。

 

地震による津波などで自宅が流された場合などは金庫も流されてしまいますが、自宅が無事であれば金庫内の物も盗難に遭うこともありません。

 

6.3. 一部損にも満たない場合

地震による被害がとても小さく、「一部損」にも満たない場合も保険料は支払われません。地震保険の一部損として認定されるのは建物主要構造部が3%以上20%未満損傷した場合や、地盤面から45㎝を超えた場合の床上浸水などです。

 

したがって地震時に「これくらいなら保険料は支払われないだろう」と決めつける前に、保険業者などに確認するのも有効な手段といえます。

 

6.4. 車やバイクに損害が生じた場合

地震により車やバイク(総排気量125cc超)に損害が生じても保険金は支払われません。地震保険のみならず自動車保険でも地震の損害に対する補償は対象外として扱われているのが一般的です。しかし、一部の保険会社の特約には、保険加入時に契約した車両が地震により全損した場合に一時金を支払うものもあります。

 

6.5. 住居として使用されていない建物の場合

地震保険に加入しても、保険対象内の建物が住居として使用されていなければ保険金は支払われません。地震発生時に補償されるのは、あくまでも加入者が生活するための住居として使用した建物のみです。したがって、住居として使用しない建物の地震保険の加入は可能ですが、実際に地震が発生した場合に補償金は支払われないので注意しましょう。

7. まとめ

(※画像はイメージです/PIXTA)
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住宅購入による転居や賃貸物件への転居は生活していくなかでの必須事項であり、その際には地震保険への加入は重要です。地震保険は火災保険と同時にしか加入できない保険ですが、火災保険では補償できない部分も幅広く補償してくれる有効な保険といえます。

 

住宅購入時やさまざまな物件への転居時には本記事を参考にして自分の状況に適した地震保険を選び、引っ越し後の生活に備えてください。

 

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