海外投資家が静かないまが投資のチャンス
脱炭素や食糧・エネルギーの調達といった「モノの課題への回帰」と日本の危機、日本企業の得意分野、物価・賃金や円安など価格面での優位性などを考えると、省エネや省力化の分野で高い技術力をすでに持つ、あるいは今後持つと期待される日本の一部の成長企業には、世界を再び大きくリードするチャンスが訪れているでしょう。
なかでも、中心的なキーワードである「脱炭素」に関する技術や投資テーマとしては、洋上風力・太陽光・地熱、原子力、自動車・蓄電池、水素・燃料アンモニア、半導体・情報通信、物流インフラ、航空機、カーボンリサイクル・マテリアル、次世代電力マネジメント、資源循環関連といったものが挙げられます。
これらのうちで、日本の企業に優位性があるとされる領域に焦点を絞ると、素材や要素技術に近い分野になるでしょう。一例としては、蓄電池や、(化石燃料由来でCO2を回収・貯蔵する)ブルー水素やアンモニア、(再生エネルギー由来の)グリーン水素やアンモニアの製造技術などが挙げられます。
最後に、日本の成長企業に資金を投じる投資家の立場で考えてみましょう。
大幅な円安にもかかわらず、次世代の技術力で優位性を持つ一部の日本企業が買われない理由のひとつは、世界的な金融引き締めや景気後退への懸念によって、投資家のリスク・アピタイトが一時的に落ちているということがあるでしょう。世界景気が鈍化すれば、世界市場を相手にする、日本の成長企業の業績も鈍化します。
景気に先立つように、やがて彼らのリスク・アピタイトが戻ったら、彼らはどうするでしょうか。我々は、彼らが円安のチャンスを利用できないいま、「先回り」することができます。
気候変動、世界の分断や食糧・エネルギーの危機、そして「モノの課題」への回帰は、日本の成長株投資にとっての好機です。世界の分断と円安は、日本の技術力の「囲い込み」と生産拠点としての日本の魅力が再確認されるきっかけになる可能性もあるでしょう。その主役のひとつは、脱炭素の技術を持つ日本の成長企業でしょう。
重見 吉徳
フィデリティ投信株式会社
マクロストラテジスト
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