米国の「CPIショック」…マーケットへの影響は?
先週は、6月分の米消費者物価指数(CPI)が前年同月比で+9.1%、前月比で+1.3%の大幅な伸びとなり、「CPIショック」と報道されました。
そのように報道されると、マーケットの中心テーマが「景気後退」から、「インフレ」や「金利上昇」に戻るように思えますが、マーケットはあまり変わっていないように思えます。
金融市場の利上げ織り込みを見ると、引き続き、来年早々の「利上げ打ち止め」と「利下げ開始」が織り込まれています。
これを言い換えると、A.「もうすでに景気後退は見えています」となりますし、B.「もうすでに金融緩和は見えています」となります。皆さんには、この両方が見えていらっしゃるでしょうか。
「100年に1度」と呼ばれた2つのできごと、すなわち、リーマン・ショックであれ、コロナ・ショックであれ、「金融緩和は資産価格にとってポジティブな展開」でした。
「噂で買って、事実で売る」という言葉があります。逆のポジションとして、「噂で売って、事実で買い戻す」なら、景気後退という「噂」で調整してきたマーケットは、「事実」で転換することになります。
日本の個人投資家のみなさまは、すでに景気後退に向けて「準備万端」なはずでしょうから(→資産の分散)、次の展開への動きを考えるタイミングでしょう(→時間の分散;時間をかけた買い付け)。
1970年代の日本の成長を促した要因
20世紀のほとんどの期間は「工業技術(industrial technology)の時代」だったといえるでしょう。問題の多くは「モノの不足」に関するものであり、新たな問題は、新たな工業技術によって解決されました。
戦後、生産性が高まって豊かになり、1960年代に入ると、日本を含む工業国では公害・環境の問題が生じました。
1971年にはニクソン大統領(当時)が訪中を発表し、その1ヵ月後に「金とドルの兌換停止」が発表されます。1973年には第1次オイルショックが起き、日本は1974年度に戦後初めてとなるマイナス成長に陥ります。