相続税は「延納」が可能?手続き方法・デメリットを「物納」とあわせてわかりやすく解説 (※写真はイメージです/PIXTA)

相続税の「延納」について、要件や手続きの方法、メリット・デメリットから「物納」まで、税理士法人ブライト相続・代表社員税理士の戸﨑貴之氏が解説していきます。

相続税の延納制度とは

相続税の納税は、原則として亡くなられてから10ヵ月以内に現金一括で納めるというルールがあります。しかし、相続人の方の状況によっては「一括で納めることが難しい…」という方もいらっしゃるでしょう。

 

そのような方のために設けられているのが、相続税の延納制度です。延納制度とは、相続税額の一括現金払いが難しい方が納める税金を分割して支払うことができる制度です。

 

延納額の支払いは年一回で、利子税の納付も必要となります。この利率や延納期間は、相続した財産の種類によって別途決まりがあります。

 

また、この制度はあくまでも一括納税が難しいことが前提条件なので、どなたでも適用できるというわけではなく、所轄税務署に申請後それが認められたときにのみ適用できます。

 

ではこの延納制度の所定の要件や、期限内に行う手続きなどについて詳しく見ていきましょう。

延納が認められる「要件」

延納は次に掲げる要件をすべて満たしてはじめて申請できます。

 

①金銭一括納付が困難であること

 

②納付すべき相続税額が10万円を超えていること

 

③延納申請書を申告期限までに税務署に提出すること

 

④延納税額と利子税額に相当する担保を提供すること(延納税額が100万円以下かつ延納期限が3年以下の場合は不要)

 

②の要件にある10万円というのは、各相続人や受遺者が納付する相続税額であって、家族全体に課税される相続税額の合計ではありませんので注意してください。

早めに行わなければ危険…延納申請にかかる「期間」

延納は要件さえ満たせばすぐに認められるというわけではありません。延納申請には審査が必要で、その審査には短くても3ヵ月程度の時間がかかります。

 

また、審査結果によって延納が認められなかった場合、「相続の開始を知ってから10ヵ月以内」という納税の期限に間に合わずに、ペナルティ(追徴課税)が課せられる可能性もあるでしょう。

 

そのような状況を避けるためにも、延納申請はなるべく早めに行うことをおすすめします。

「物納」にすることも可能だが…必要な手続きと注意点

現金一括納税が難しく、さらに延納も難しい場合には、お金の代わりに「物」で相続税の納付を行うことができます。この制度を「物納」と言います。

 

相続税額の全額を物納にできるわけではなく、あくまでも延納しても納付することができない税額のみに物納が認められていますので注意しましょう。

 

物納できる財産は相続により取得した財産で、財産の種類には順位があります。この上位のものから物納に充てるのが原則です。

 

順位は以下の通りです。

 

第1順位:①不動産、船舶、国債証券、地方債証券、上場株式等

      ②不動産および上場株式のうち、物納劣後財産に該当するもの

 

第2順位:①非上場株式等

     ②非上場株式のうち、物納劣後財産に該当するもの

 

第3順位:動産

 

物納を申請するには、以下の書類を相続税の申告期限までに税務署へ提出する必要があります。

 

・相続税物納申請書(金銭納付を困難とする理由書を添付)

 

・物納財産目録

 

・物納手続関係書類

相続税の延納「メリット」もあるが、「デメリット」も

延納のメリットは、「一度に多額の相続税を支払わなくて済むこと」です。

 

一方でデメリットは、「延納期間中は延納税額に利子税がかかること」です。

 

この利子税は、相続財産に占める不動産等の割合によって、5年から最長20年までの期間猶予があり、年2.1%から年6%までで定められています。

 

詳しくは国税庁のホームページをご覧ください。

 

【参考】No.4211 相続税の延納|国税庁(nta.go.jp)

延納手続きをするとなったら「必要な書類」は…

延納を行う場合は、相続税の納税期限である10ヵ月以内に、亡くなられた方の住所地を管轄する税務署へ必要書類を提出する必要があります。

 

必要となる書類は以下の通りです。(各申請書類は国税庁のホームページより入手が可能です)

 

相続税延納申請書

 

・金銭納付することを困難とする理由書

 

・延納申請書別紙

   …担保財産の種類に応じ様式が異なる場合

 

・不動産などの財産の明細書

   …不動産等の価格の割合が75%未満の場合は提出不要

 

・担保提供関係書類

 

これらの書類を相続税の申告期限以内に提出すると、提出後おおよそ3ヵ月間程度で許可、または却下の通知があります。

許可が出ても「取り消されるケース」に注意?

無事に延納申請が許可された場合でも、分納税の滞納(利子税、延滞税のみの滞納も含む)や、延納条件に違反したなどの事由が生じた場合は、延納許可が取り消され、残りの税額をすぐに納付することになります。

 

またこの場合は、許可取り消しの日までの利子税と、本税を納付し終わるまでの延滞税も発生してしまうため、注意が必要です。

まとめ

いかがだったでしょうか。

 

相続税の延納のお手続きは、納税者の方にとって要件や手順が複雑で大変なご負担になることがお分かりいただけたのではないでしょうか。

 

申告期限の10ヵ月以内に延納を検討されている方はご自身でお手続きを行うことは難しいため、相続専門の税理士に相談することを強くおすすめします。

 

 

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戸﨑 貴之

税理士法人ブライト相続 代表社員税理士

 

 

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    税理士法人ブライト相続 税理士

    群馬県太田市出身。2011年、税理士法人レガシィ入社。

    300件超の相続税申告、相続税還付、意見聴取・税務調査対応、譲渡所得税申告、相続顧問、遺言書作成、家族信託その他対策コンサルティング業務など、数多くの資産税関連業務に従事。

    2019年、税理士法人ブライト相続入社。

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