(※写真はイメージです/PIXTA)

「相続税路線価と固定資産税路線価」「実勢価格・公示価格との違い」や、路線価図の見方、評価額の計算方法について、税理士法人ブライト相続・代表社員税理士の竹下祐史氏がわかりやすく解説していきます。

路線価とは

相続や不動産について調べていると、「路線価」という言葉を見かけることがあると思います。路線価とは、道路に面した宅地の1㎡あたりの土地の価格のことをいいます。

 

路線価には「相続税路線価」と「固定資産税路線価」という2つがあり、それぞれにどれくらいの税金がかかるかを求めるのに使われる指標となります。ちなみに、単に「路線価」とだけ記されている場合には「相続税路線価」のことが多いです。

 

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実勢価格(時価)・公示価格との違い…路線価から目安がわかる?

路線価以外にも土地の価格に関する言葉はいくつかあります。実際に市場で取引されたときの価格である「実勢価格(時価)」は、市場で取引や売買するときに用いられます。

 

また、一般の土地取引価格の指標である「公示価格」は、国土交通省が年に1度、不動産鑑定士による鑑定評価をもとに決定する土地の価格で、主に土地取引や金融機関の担保評価などに用いられます。

 

そして、このような公示地価と実勢価格をもとに評価された価格が路線価です。路線価は道路に面した土地の評価額で、相続税・贈与税・固定資産税を算出するときに用いられます。

 

つまり、それぞれの目的に応じてそれぞれの価格が設定されているということになります。

 

実勢価格や公示価格は全ての土地を算出していくとなるとその数も膨大で時間がかかり、また時価は日々変動するため測る時点によっても差が出てきてしまいます。そこで、比較的簡単に算出することのできる路線価を用いると、大体の実勢価格や公示価格の目安となる価格を算出することができます。

相続税路線価と固定資産税路線価の違い

冒頭で申し上げたとおり、路線価には2種類あります。

 

  • 相続税路線価…相続税・贈与税を算出するときに用いられる価格
  • 固定資産税路線価…固定資産税・不動産取得税などを算出するときに用いられる価格

 

①の相続税路線価は「毎年7月1日」に公表され、価格は公示価格のおよそ80%程度の評価割合になるといわれています。なお、路線価は売買の実例価格や地価公示価格、不動産鑑定士による鑑定評価などを踏まえて、国税庁が算出をしています。

 

一方、②の固定資産税路線価は「3年に1度3月または4月」に公表され、価格は公示価格のおよそ70%程度の評価割合になるといわれています。また、価格は各市区町村長が決定しています。

どのように調べる…?路線価図の見方

では、実際に路線価の調べ方を見ていきましょう。

 

《相続税路線価の調べ方》

 

相続税路線価は、常に最新の路線価が確認できる国税庁のサイトで見ることをおすすめします。

 

参考:国税庁公式HP『路線価図・評価倍率表』https://www.rosenka.nta.go.jp/

 

まずは表示されている該当の都道府県を選択し、『路線価図』をチェックします。続いて該当の市区町村や町名(番地)を選択していきます。路線価図ページ番号が複数ある場合には、該当ページをさらに探します。以上が相続税路線価図の検索の仕方です。ポイントとしては、「大まかな場所から絞り込んでいく」というイメージです。

 

《固定資産税路線価の調べ方》

 

固定資産税路線価は、資産評価システム研究センターが提供している『全国地価マップ』を利用すると調べることができます。

 

参考:一般財団法人資産評価システム研究センター全国地価マップ』(chikamap.jp)

 

まずは対象となる『固定資産税路線価』を選択し、対象となる年度を選択します。すると住所入力欄が表示されるので、該当の住所地を入力し検索結果をクリックすると、地図が表示されます。以上が固定資産税路線価図の検索の仕方です。相続税路線価よりも検索しやすいですね。

 

路線価図の見方ですが、地図には路線(道路)に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額(千円単位)で表示されています。例えば、330Cと記載されてある場所の路線価は330千円、つまり33万円ということになります。ちなみに数字の後ろに付いているA~Dの記号は借地権割合のことを指しますが、借地・貸地でなければ意識する必要はありません。

相続税評価額の計算方法

では実際に路線価図を元に相続税の土地評価額を計算してみましょう。具体的な計算式は以下の通りです。

 

評価額=路線価×土地の面積(㎡)×補正率・加算率

 

※この計算式は自用地(自宅など、ご自身で使用する土地)の評価に用いるものです。建物を賃貸に出している土地や借地権のある土地などは、上記評価額から賃借人等の権利相当分をマイナスして計算します。

 

なお、計算式中の「補正率・加算率」はその土地の個別事情を織り込んで使用されます。

 

個別事情とは、具体的にはその土地の間口、奥行き、形(不整形かどうか)、角地かどうか、がけ地や道路からの高低差などの土地の形状によって考慮されるもの、また、建築基準法や都市計画法等、法令上の建築制限によって考慮されるものなどがあります。さらに、近隣に墓地がある場合、騒音のある線路や幹線道路がある場合なども、評価を減額できることがあります。

 

このように、土地ごとの個別事情は多岐にわたり、補正率等を織り込んだ評価はより専門性が高いため、検討される場合には税理士など専門家に相談されることをお勧めします。そうでない場合は、ひとまずは「評価額=路線価×土地の面積(㎡)」と考えておけばいいでしょう。

 

 

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竹下 祐史

税理士法人ブライト相続代表社員税理士・公認会計士

 

 

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