「有事の金」は意外とリスキー?資産防衛・長期的な資産形成に適した“投資先”を考える【税理士が解説】

「有事の金」は意外とリスキー?資産防衛・長期的な資産形成に適した“投資先”を考える【税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

円安、インフレ、増税…これらが同時進行する“最悪のシナリオ下”でも資産を守れる「投資先」は、いったいどこなのでしょうか。数ある投資先の中でも、板山翔税理士は「株」、特にアメリカ株が最適と考えます。とはいえ、資産防衛に使える投資先はアメリカ株だけではありません。今回は「債権、投資信託、不動産、金(ゴールド)、FX、仮想通貨(暗号資産)」に焦点を当て、アメリカ株との比較を交えつつ、それぞれの特徴やメリット、どのような人に向いているのかなどを解説します。

投資先を選ぶ5つのポイント

投資先を選ぶときには、リスクとリターンだけに着目すればよいわけではなく、次の5つのポイントを考慮する必要があります。

 

1. リスク…価値が下がるリスクは低いか

2. リターン…リターンは大きいか

3. 流動性…すぐに換金できるか

4. 管理コスト…管理の手間や手数料は少なくて済むか

5. 税制…税制面では有利か

 

ひと言で投資と言っても株や債券、投資信託などの有価証券、不動産や金などの実物資産、FXや仮想通貨(暗号資産)のような投機性が高いものなど様々です。

 

上記5つのポイントから、資産を守るために最も適していて、長期的な資産形成にも向いている投資先はどれでしょうか?

 

本稿では、債権、投資信託、不動産、金(ゴールド)、FX、仮想通貨(暗号資産)について検討していきたいと思います。

債権(国債、社債など)

■「リスクの低さ」は魅力的だが、その分リターンも小さい

国や企業などの発行体が破綻・倒産でもしない限り、満期まで保有していれば額面金額が償還されるため、リスクがとても低いというメリットがあります。

 

しかしリターンも小さく、たとえば日本の個人向け国債の固定金利型3年満期の表面利率は0.05%しかありません。

 

個人向け国債は1年経過すれば中途換金できるため、極端に流動性が低くなるわけではありませんし、管理の手間もかかりませんが、普通預金でも金利が0.05%を超えるケースもあるため、あまり魅力を感じません。

 

企業が発行する社債のほうが利率は上がりますが、それでも金利は1%未満ものが多いです。

 

市場金利が下がれば債券価格は上がりますので、満期まで待たずに譲渡して利益を得ることもできますが、株ほどの値上がりも期待できません。

 

外国の債権に目を向ければ、金利が2%を超えるものも多いですが、株の配当利回りも2%を超える銘柄も多いことから、リターンの面ではどうしても株に見劣りしてしまいます。

 

管理の手間はかからず、譲渡益は20.315%(所得税等15.315%、住民税5%)の申告分離課税、利子も20.315%の申告分離課税などを選択できますので、リスクヘッジの1つとしての使い道はあるでしょう。

 

ただし、より期待値の高いアメリカ株の中で分散投資をしたほうがリスクヘッジになると筆者は考えていますので、無理に手を広げる必要はありません。

 

資産防衛の意識が強い人には、リスクの低い債権は魅力的ですが、インフレや増税によって資産が目減りしていく状況下では、多少のリスクを負ってでも資産を増やすという観点も必要です。

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