――50歳未満の世帯は貯蓄より負債の方が多いって本当ですか?
板山翔税理士:「はい、本当です。総務省の家計調査報告によると、50歳未満の二人以上世帯では、貯蓄より負債の平均値の方が大きいです。」
40歳未満世帯では貯蓄708万円・負債1,244万円ほど
総務省統計局の令和2年の家計調査報告(二人以上の世帯)によると、40歳未満の世帯の貯蓄の平均値は708万円、負債の平均値は1,244万円と、負債の方がはるかに多い結果となっています。
40~49歳でも貯蓄の平均値は1,081万円、負債の平均値は1,231万円と、まだ負債の方が多い状態です(※この調査における貯蓄とは、預金や積立型保険、株や社債などの有価証券の合計額ですので、土地・建物などは含まれてはいません)。
負債は大半が住宅ローンですので、ざっくりまとめると、『50歳未満の世帯は貯蓄より住宅ローンの方が多い状態』であると言えます。
住んでいる家はなかなか売れないこともあり、会社で言えば債務超過に近い状態になってしまい、どれだけ仕事が辛くても住宅ローンの支払があるから辞められないといった声もよく聞きます。
“住宅ローン地獄”に陥る根本原因
なぜ、こんな状態になってしまったのでしょうか? 大きく2つの理由が考えられます。
<①「家や車を買うことが当たり前」という価値観>
1つ目の理由は、「家や車を買うことが当たり前」という教育を受けてきたことです。
今の50歳未満の世帯の親世代は、高度経済成長期や、バブルなどの好景気を経験してきた世代です。
終身雇用が中心で収入は安定していて、土地・建物の資産価値も高かったので、家や車を買うのは当たり前のことでした。
その価値観は今でも根強く、年齢が若くて収入が低いうちから、収入増を見込んで30年超の住宅ローンを組み、家を買うことも珍しくありません。
車のリースも増えてきましたが、今でも分割で購入する人が大半です。
今は昔に比べたら収入は不安定ですし、バブルの頃のように住んでいる家の価値が上がることも少ないのですが。
<②お金に関する教育がされていない>
2つ目の理由は、お金に関する知識、いわゆるファイナンシャルリテラシーに関する教育がされていないことです。
学校では会計や資産運用、税に関する知識を教えてくれる授業はほとんどありません。
商業科がある高校や大学の専攻で学ぶことはできるかもしれませんが、まったく勉強したことがない人がほとんどです。
そこで、家を買うときも、
「貯蓄より住宅ローンがはるかに大きい状態はまずいんじゃない? 家族が増えたり収入が下がったりしても大丈夫?」
とか、
「住んでいる家は価値が下がるから、投資に回した方がよいんじゃない?」
といった助言は誰もしません(そんなことを言った日にはブーイングの嵐です笑)。
もちろん、持ち家の財産価値が高かったり、割安の物件が購入できたりして、賃貸よりトータルコストが抑えられる場合や、多少支払いが高くても良い家に住むことが夢であった場合など、リスクとリターンを比較して、それでも家が欲しいと判断したのであればまったく問題はありません。
ずっと同じ家に住み続けるのであれば、賃貸より持ち家の方がお得なのも事実です。
しかし、そもそも価値が下がるリスクや収入が下がるリスクを考えずに、ハイリスクな持ち家の購入を選んでしまう人が多いことは懸念しています。
私には学校教育を変える力はありませんが、どなたか「ファイナンシャルリテラシー」を副教科でも良いので追加してくれないかと、密かに願っています。
板山 翔
板山翔税理士事務所 代表、税理士
おそらく日本初の「オンライン専門の税理士事務所」の創設者。自社の事業を「税理士業」ではなく、「経営に必要な情報をオンラインで提供する事業」と捉え、経営戦略コンサルタントとしても活動している。従業員5名以下の小さな会社の経営者を中心に、「小さな会社だからこそできる差別化戦略」の立て方や、「短期間で売上アップするためのマーケティング戦略」、「長期的に資産を形成していくための財務戦略」などを教えている。
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