「有事の金」は意外とリスキー?資産防衛・長期的な資産形成に適した“投資先”を考える【税理士が解説】

「有事の金」は意外とリスキー?資産防衛・長期的な資産形成に適した“投資先”を考える【税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

円安、インフレ、増税…これらが同時進行する“最悪のシナリオ下”でも資産を守れる「投資先」は、いったいどこなのでしょうか。数ある投資先の中でも、板山翔税理士は「株」、特にアメリカ株が最適と考えます。とはいえ、資産防衛に使える投資先はアメリカ株だけではありません。今回は「債権、投資信託、不動産、金(ゴールド)、FX、仮想通貨(暗号資産)」に焦点を当て、アメリカ株との比較を交えつつ、それぞれの特徴やメリット、どのような人に向いているのかなどを解説します。

仮想通貨(暗号資産)

■将来の値上がりに賭けるのもありだが、資産防衛には不向き

ビットコインをはじめとする仮想通貨は、円やドルといった法定通貨と違って、紙幣や金貨のような実体はなく、国や企業などの管理主体もありません。

 

ではまったく価値がないかというとそうでもなく、決済が楽であったり、取引履歴が残るため不正な改ざんができなかったりと、ブロックチェーンの仕組みそのものに価値があります。

 

投機バブルと暴落を繰り返しつつも、徐々に信用貨幣としての地位を築きつつあります。

 

開発された当初1ビットコインあたり1円の価値もなかったビットコインは、2022年7月11日時点で1ビットコインあたり約280万円の値を付けており、時価総額は53兆円を超えています。

 

とはいえ、わずか8ヵ月前の2021年11月10日には1ビットコイン=約750万円であったことを考えると、6割以上下落しており、ハイリスクハイリターンであることには変わりありません。

 

すぐに現金化できるので流動性は高いですが、仮想通貨の送付に必要な秘密鍵(プライベートキー)を紛失してしまうと二度と仮想通貨を使えなくなるというリスクもあり、秘密鍵の管理には十分気を付けないといけません。

 

また、仮想通貨は税制面でも高いリスクをはらんでいます。仮想通貨の取引によって生じた所得は原則として総合課税の雑所得となるため、給与所得などと合算されて税率が計算されてしまう上に、たとえ多額の損失が発生しても、雑所得は給与所得などと損益通算できません。

 

また、仮想通貨を円に換金したり、仮想通貨同士を交換したりする都度、売却損益が計算されるため、たとえばある年に仮想通貨Aから仮想通貨Bに交換したときに多額の売却益が発生した後、翌年仮想通貨Bが暴落し、あわてて日本円に換金したものの、多額の売却損が発生した場合などは最悪のケースです。多額の売却益に対して重い納税が発生しますが、円に換金できた金額はわずかで、翌年の売却損を前年の売却益と相殺するようなこともできません。

 

将来の値上がりに賭けて投資してみるのも1つですが、上がるとも下がるとも言えない仮想通貨は、資産防衛という観点からは不向きです。また、仮想通貨に投資する場合はくれぐれも交換や換金のタイミングにはご注意ください。

「自分に適した投資先」を選ぶことが重要

ここまで、投資先を選ぶ5つのポイントから、様々な投資先について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?

 

税制面も含めた全体像を比較する機会はあまりなかったでしょうし、良い機会にはなったと思います。

 

最初にアメリカ株が最も資産防衛に適しているという結論を示しましたが、ご覧のとおりその他の投資先を使うメリットもありますので、自分に最も適した投資先を選んでいただきたいと思います。

 

 

板山 翔

板山翔税理士事務所 税理士

経営戦略コンサルタント

 

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