今回は、マンションの「長期修繕計画」は何年ごとに見直す必要があるのかを説明します。※本連載は、須藤桂一氏の書籍『忍び寄るブラックマンション危機とその回避法』(保険毎日新聞社)の中から一部を抜粋し、マンション管理に様々な問題を抱える、いわゆる「ブラックマンション」の概要と、ブラック化の回避方法を見ていきます。

長期修繕計画は「5年おき」に更新がベター

修繕積立金の運用を考えるにあたっては、いつ、どのぐらいの出費が見込まれるのかということによって運用方法も異なりますので、「長期修繕計画表」を参考に、長期的な計画に基づいて運用方法を検討するといいでしょう。

 

ところが、この長期修繕計画表が完成されていないマンションもよく見かけます。長期修繕計画とうたっておきながら、10〜15年程度の計画しかないところも見受けられます。

 

国土交通省が作成した「長期修繕計画作成ガイドライン」にも、計画期間は、新築のマンションの場合は30年以上、既存のマンションでも25年以上とし、5年程度ごとに見直すことが必要だと定義されています。

 

長期修繕計画は建物や設備の劣化状況、社会的な環境や生活様式の変化などといった不確定な事項を含んでいるので、一定期間で見直す必要があるというのがガイドラインの趣旨なのです。

 

その都度、管理会社や設計事務所に依頼することは大変ですので、管理業務委託契約に含めて、管理会社に5年おきに更新してもらう仕組みにするといいでしょう。

長期修繕計画は「40年先」まで見据えることが理想

また、現代の給水管や配水管などは耐用年数が延びて、築30〜40年をめどに更新する設定になっている商品も増えています。

 

したがって、新築時から40年目までを見通せる長期修繕計画になっていると、修繕する箇所がすべて網羅され、40年で一巡する形になります。既存のマンションの場合は、たとえば築5年目のマンションなら、向こう35年間の長期修繕計画表があれば全体像が見えてくることになるので、そうした長期修繕計画表を作ってもらうことが理想的です。

 

[図表]管理費/修繕積立金 築年数別平均額

 

イラスト=田中マコト

本連載は、2015年4月21日刊行の書籍『忍び寄るブラックマンション危機とその回避法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

忍び寄るブラックマンション 危機とその回避法

忍び寄るブラックマンション 危機とその回避法

須藤 桂一

保険毎日新聞社

金融破綻、年金破綻、そしてマンション破綻、著者はこの3つを「日本の三大破綻」と位置付けている。高すぎる管理費が修繕積立金を圧迫するなか、人口が減少していくニッポンで地方のマンションは資産価値を保ち続けることがで…

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