今回は、マンションの「管理組合」がなくなると、具体的にどうなるのかを見ていきます。※本連載は、須藤桂一氏の書籍『忍び寄るブラックマンション危機とその回避法』(保険毎日新聞社)の中から一部を抜粋し、マンション管理に様々な問題を抱える、いわゆる「ブラックマンション」の概要と、ブラック化の回避方法を見ていきます。

マンションの共同管理について定める「区分所有法」

マンションにかかわる重要な法律に、建物及び敷地等の共同管理とその権利関係について定めた「区分所有法」というものがあります。

 

マンションには、建物の躯体、外壁、エントランス、開放廊下、エレベータ、敷地、駐車場、駐輪場など、区分所有者が共有している部分(共用部分、敷地及び付属施設)があるため、その権利関係をどのようにするかを定める必要があります。

 

また、区分所有者は、建物及びその敷地などについて共同で管理することを求められ、そのための組織や運営方法などについて定める必要があります。

 

これらの定めがなければ、たとえば、自分の家の玄関扉は赤色に、サッシは緑色に、外壁は茶色にと、区分所有者は勝手気ままに手を加えたり、改修したりして、マンション全体の外観が損なわれたひどい有様になることが十分考えられます。

区分所有法がなければマンションは「無法地帯」に!?

区分所有法のような法整備がなされている国は限られており、マンションが林立し始めているようなとある国では、居住者が好き勝手に手を加えるなどして、いわば無法地帯のようになっている建物がたくさんあります。

 

実は、わが国も昭和中期頃までは法整備が遅れていたため、野放しの状態でした。昭和38年4月1日に区分所有法が施行されたことで、そうした状態が改善されていったのです。区分所有法自体はその後も改定が繰り返されています。

 

[図表]マンション管理組合がないと・・・

香港市内のマンション修繕現場。
香港市内のマンション修繕現場。

 

 

イラスト=田中マコト

本連載は、2015年4月21日刊行の書籍『忍び寄るブラックマンション危機とその回避法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

忍び寄るブラックマンション 危機とその回避法

忍び寄るブラックマンション 危機とその回避法

須藤 桂一

保険毎日新聞社

金融破綻、年金破綻、そしてマンション破綻、著者はこの3つを「日本の三大破綻」と位置付けている。高すぎる管理費が修繕積立金を圧迫するなか、人口が減少していくニッポンで地方のマンションは資産価値を保ち続けることがで…

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