(画像はイメージです/PIXTA)

離婚条件を決める際に、話し合いがこじれやすい問題のひとつが財産分与です。とくに会社経営者や個人事業主の離婚においては、事業用の財産が財産分与に含まれるのかが争点になるケースも少なくありません。そこで実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、病院法人の経営者における離婚時の財産分与について安孫子哲教弁護士に解説していただきました。

運営に協力し法人化した病院は、財産分与の対象?

相談者のTさん(女性・仮名)は、離婚の財産分与の対象になる財産について、ココナラ法律相談「法律Q&A」に相談しました。

 

Tさん夫婦は病院法人を経営しており、夫婦で築きあげた財産(資金供与ではない)で法人成りしました。名義はTさんの夫側にあります。

 

Tさんは運営に協力しましたが、離婚の話し合いになるとTさんの夫から「節税対策で給与を渡しただけ」と言われてしまいました。

 

法律上、法人は個人の財産にならないと聞きましたが、貢献度によっては財産分与の対象になることもあるのでしょうか。

 

もし貢献度を主張することで変わる可能性があるなら、どのようなことを主張すべきでしょうか。貢献度の証拠としては、周りのスタッフにTさんが働いていたという証言をしてもらうことは可能だそうです。

法人の財産等は原則対象外だが、例外もあり

皆さんは、離婚による財産分与の対象というと、何を想像されるでしょうか?

 

一般的には、土地建物といった不動産、自動車や貴金属といった動産、預貯金や現金など色々あります。

 

では、ご相談内容にある「法人」(ご相談内容は法人となっていますが、厳密には法人が行う事業そのものや法人が保有する財産が対象となります。)は、財産分与の対象となるのでしょうか?

 

まず大前提として、離婚における財産分与の対象となる財産は、婚姻から婚姻破綻時までに、実質的にご夫婦の協力によって得られた財産です(民法768条3項参照)。そのため、法人が行う事業や法人が保有する財産は、法人に帰属するものですから、原則として財産分与の対象とはなりません

 

一方で、家業などで夫や妻が株式を保有したり、資金を出資しているケースは多々あります。この場合は、保有株式や出資持分権が財産分与の対象となり得ます。

 

もっとも、家業で会社を経営しているケースでは、夫や妻の貢献が会社の財産を築いたり、会社財産の購入資金にご夫婦の個人の財産が使用される場合もあるでしょう。

 

このような場合に、ご夫婦の協力によって法人の財産を築いたとして、財産分与の対象となるかが問題となってくるのです。

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