(画像はイメージです/PIXTA)

離婚条件を決める際に、話し合いがこじれやすい問題のひとつが財産分与です。とくに会社経営者や個人事業主の離婚においては、事業用の財産が財産分与に含まれるのかが争点になるケースも少なくありません。そこで実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、病院法人の経営者における離婚時の財産分与について安孫子哲教弁護士に解説していただきました。

法人の財産が財産分与の対象となる様々なケース

1.財産分与の対象となり得る場合とは?

 

離婚における財産分与の対象となる財産は、実質的にご夫婦の協力によって得られた財産であることは、先程述べた通りです。

 

法人の財産が財産分与の対象となる具体例として、以下のパターンがあります。

 

会社経営において、夫や妻の貢献を経済的に評価することができる場合

 

会社財産の購入資金に夫や妻が個人で出資をした場合

 

個人事業主で会社財産と個人の財産が明確に区別されていない場合

 

会社の実態が個人経営であり、実質上ご夫婦の資産と同視できる場合

 

法人格否認の法理の要件を満たす場合に限り、法人名義の財産がご夫婦の資産と同視できる場合

 

ご夫婦の共有財産を法人名義の資産としたことが明らかな場合

 

代表的なパターンを挙げましたが、この他にも様々なパターンが存在しますので、会社の実態やご夫婦の資産管理の状況など個別具体的な判断が必要です

 

そのため、まずは弁護士等の専門家にご相談をされることをおすすめ致します。

 

ここで、ご相談にもあります「貢献度をどのように主張するか?」ですが、会社に勤務されていたのであれば、給与明細退職金の支払明細など、ご自身の会社への貢献度合いがわかる資料があるとよいかと思います。

 

なお、法人の財産が財産分与の対象となるとしても、どの程度の割合で財産が分与されるかは、また別の問題です。

 

この点、寄与度によって分与する考え方や平等に分与する考え方などがありますが、実務上は、特段の事情がない限り平等を原則とし、寄与度の差が大きく、これを考慮しないと実質的に公平といえない場合、寄与度を考慮するといった考え方を採っています。

2.医療法人の場合の注意点

 

医療法人は、平成18年の医療法改正によって、出資持分のある医療法人の設立はできなくなりました。

 

そのため上記医療法改正後に設立された医療法人は、出資持分や社員の地位を財産分与の対象とすることはできません。

 

逆をいえば、改正前に設立された医療法人については、出資持分は財産分与の対象となり得ます。この点は注意が必要です。

3.最後に

 

離婚による財産分与は、離婚問題とセットで考える分野ですので、身近な問題ではありますが、その内容は複雑であり、専門的な知識や知見が必要となる場合もあります。

 

何かお悩みの場合は、一人で悩まず、お気軽にご相談ください。

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