(画像はイメージです/PIXTA)

賃貸物件のオーナーは、騒音やペット問題など、しばしば入居者が起こすトラブルに遭遇することがあります。利用規則に違反する入居者がいると他の入居者の迷惑になるため、早期に対応しておきたいところです。そこで実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、 迷惑な入居者の明渡請求について原田和幸弁護士に解説していただきました。

騒音を立て、食器を投げる入居者を追い出す方法は?

賃貸業を行っている相談者のスケオさん(仮名)は、迷惑行為をしている入居者を追い出したいそうです。

 

具体的には、隣の建物に食器を投げる、騒音による他の入居者の退去・トラブル、共用部分にタバコの灰を落とすなどの行為がありました。

 

証拠として投げられた食器の画像、騒音の音声、隣の退去理由などは提示でき、また多数の目撃者もいるとのことです。

 

そこで「どのような手法で追い出すことがコスト、時間的に最適なのか知りたい」ということで、ココナラ法律相談「法律Q&A」に相談されました。

入居者を退去させるには、賃貸借契約の解除理由が必要

スケオさんが入居者を退去させたいとなると、法的にはスケオさんと入居者との間で成立している入居者の住戸の賃貸借契約を解除する必要があります。

 

解除するためには、解除原因というものが必要になり、一般的に言えば、貸主と借主との間の信頼関係を破壊する事情が必要になります。

 

よくある解除原因としては、賃料を相当程度滞納した場合に、貸主としては借主との信頼関係が保てないとして、解除する場合があります。

 

本件では、①隣の建物に食器を投げる②騒音による他の入居者とのトラブル③共用部分にタバコの灰を落とすという借主の行為があるわけです。

 

これを具体的に一つひとつ見てみると、①については、隣の建物とありますが、隣のどの部分なのか、どの程度建物に影響があるのか、何回その投げる行為があったのか、隣の人が何と言っているのか等によって、貸主にどのくらいの被害が生じているか問題となります。

 

②でいえば、騒音はどの程度の大きさのものか、どういう内容の音なのか、頻度はどの程度なのか、退去した人もいるようですが退去した人と借主とどういうやりとりがあったのか等によっても違ってきます。

 

また、③についても、共用部分とありますが、そこはどういう場所なのか、火が燃え移りやすい場所なのか、コンクリートの床なのか、また頻度はどの程度か、等によっても違ってきます。

 

また、仮に裁判となると、その事情を裏付ける証拠も必要となっています。

 

例えば、①については食器の画像があるようですが、それはどこに存在した食器なのか、何回あるのか、それは借主が投げたことが分かる証拠なのか、等によっても有力な証拠になるのかどうか違ってきますし、②でいえば、音声ともありますが、単に録音だけだと、発せられる内容は分かるにしても音の大きさが分かりませんので、果たして騒音と言えるようなものなのかが問題となってきます。

 

また、多数の目撃者ともありますが、貸主や借主とどういう関係の人なのか、どういう内容の証言が得られるのか等によっても、裁判の証拠としてどの程度使えるのかという問題もあります。

 

よって裁判ともなると、事情を整理しつつ、証拠の精査等も必要になってきますし、大変な作業になってきます。

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