国債の信用が失われると買い手がつかなくなる
■国家の信用が失われるとは?
財政赤字が話題になると、例として「ギリシャのようになる」と、ギリシャ危機が挙げられます。ギリシャ危機とはどういうものだったのでしょう。
2010年1月、欧州委員会がギリシャの統計上の不備を指摘し、財政の悪化が表面化しました。それに対してギリシャ政府は財政赤字解消のため、3年にわたる財政健全化計画を発表しました。
しかし、それは非常に楽観的な経済成長が前提であったため、格付け会社がギリシャ国債の格付けを引き下げ、デフォルト(債務不履行)不安からギリシャ国債が暴落しました。
さらにギリシャの財政赤字は対GDP5%程度とされていましたが、新政権(全ギリシャ社会主義運動)下で旧政権(新民主主義党)による財政赤字の隠蔽が明らかになり、実際は12.7%に達していたことが判明しました。
国家の信用が失われるとは、このギリシャ危機のような事態を指します。
国債の信用が失われると、買い手がつかなくなるという状態になるわけです。これにはいろいろな要因があります。戦争が起きた、国民が怠け者で税金を払わない、ギリシャのような政府による隠蔽とか、そういうその国家を信用できなくする事象です。
国債が買われなくなるのには、政治的な制裁ということもあります。例えば金融制裁下にある北朝鮮が国債を発行しても、誰も買いません。買ってはいけないという制裁はできるわけです。中国の国債にしても、人権問題等々の制裁で買ってはいけないことを、例えばアメリカ政府が決めたら、投資家はそうせざるを得なくなるでしょう。
■ブッシュ大統領の生んだバブル
実体経済の裏付けがないまま金融商品が上がる現象は、バブルとみたほうがいいでしょう。なぜかというと、金融市場は実体経済を抜きにして語れないというか、やはり繫がっているからです。
リーマン・ショックに発展したサブプライムローン危機を例にしますと、実体経済がどんどん縮小していく、あるいは景気が悪くなっていくと、住宅価格は下がっていきます。
住宅市場は実体経済の一部と考えてもいいわけです。住宅価格のほうはどんどん下がっているのに、それをもとにした住宅ローン証券という巨大な金融市場はワーッと膨らんでいたわけです。だから肝心のところ、つまり実体経済がペシャンと潰れてしまったら、金融経済のほうは支えきれなくなります。