(写真はイメージです/PIXTA)

ある一定の所得を超えた場合、多くの人が頭を悩ませる「税金対策」。会社を経営している場合、法人で物件を借り上げ、「社宅」とすることで節税している企業も少なくありません。さらに、「社長や役員の自宅を社宅とすることで節税になる」と、企業法務に詳しいAuthense法律事務所の西尾公伸弁護士はいいます。詳しくみていきましょう。

自宅を社宅にしたい…「適正な家賃」の設定方法

社宅が給与課税されないためには、社宅の賃料を適正に設定する必要があります
※ 国税庁:No.2600 役員に社宅などを貸したとき

 

では、社宅の適正な賃料はどのように設定すればよいのでしょうか。

 

適正な賃料の額の計算方法は、その住宅が「小規模な住宅」に該当するかどうかによって異なります。「小規模な住宅」とは、次のいずれかに該当するものです。

 

・建物の法定耐用年数が30年以下の場合:床面積が132平方メートル以下の住宅
・建物の法定耐用年数が30年を超える場合:床面積が99平方メートル以下の住宅

 

建物の法定耐用年数は、国税庁が公表している資料から確認することが可能です
※ 国税庁:主な減価償却資産の耐用年数表

 

一般的に、堅牢な建材を使っているほど法定耐用年数は長くなります。

 

小規模な住宅である場合

社長や役員に賃貸している社宅が小規模な住宅である場合、適正な賃料相当額は次の1から3の合計額で算定されます。

 

1.その年度の建物の固定資産税の課税標準額×0.2%
2.12円×その建物の総床面積(平方メートル)/3.3平方メートル
3.その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×0.22%

 

なお、固定資産税の課税標準額は、毎年4月から6月頃に不動産の所在する市区町村役場から、不動産の所有者に対して送付される「固定資産税課税明細書」などの書類で確認できます。

 

小規模な住宅でない場合

社長や役員に賃貸している社宅が小規模な住宅でない場合の適正賃料の算定方法は、その社宅が会社所有のものであるのか、会社が第三者から借りた物件を転貸しているのかによって次のように異なります。

 

■自社所有の社宅の場合

社宅が会社所有である場合の適正賃料は、次の1と2の合計額を12分の1にした金額となります。

 

1.その年度の建物の固定資産税の課税標準額×12%(法定耐用年数が30年を超える建物の場合には10%)
2.その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×6%

 

■会社が第三者から借りた物件を転貸する場合

会社が第三者から借りた物件を社宅として転貸する場合の次のいずれか多い金額となります。

 

1.会社が家主に支払う家賃の50%の金額
2.自社所有の物件である場合と同じ算式で算定をした適正賃料

 

 

西尾 公伸

Authense法律事務所

弁護士
 

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本記事はAuthense企業法務のブログ・コラムを転載したものです。

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