矯正は子どもの可能性を広げる
■研究に終わりはない
その意味では、当院は本当に研究開発型の医院といえます。こうした研究を現在も続けているのは、ある一定の結果が出るまでは頑張ろうと思っているからですが、そろそろ後進を探さなくては、とも思っています。
本来であれば、大学で研究を進めて、新しい治療方法として大学が発表することが望ましいと考えています。一介の開業医が論文を発表するよりも、権威ある大学発のほうが全国に広がりやすいからです。より多くの患者さんに、よりよい治療を提供するためには、そのほうがよいに決まっていますが、なかなかそうはいかない現実があります。
それで私なりにできること……世の中に提案したり紹介したりするために論文を出すようにしているのです。
近々、初めてアメリカの学会誌に論文を掲載する予定です。英語で書くことで、アジア圏にも広められる可能性があるのではないかと期待もしています。
自分の患者さんのために、よりよい治療法を提供したいという思いは、もちろんありますが、それだけではなく、より多くの人……この治療で恩恵を受ける患者さんは、まだまだたくさんいると思うので、そうした人たちの役にも立ちたいのです。
たとえばアジアにおいても、歯列矯正の需要はあります。そこにJETsystemを導入すれば治療期間が半分くらいになりますから、患者さんにとってとてもよいことだと思うのです。
国内でもこのシステムについて知らない、聞いたことはあっても詳しくは知らなかったというドクターもいるので、まずは国内の矯正歯科医に広め、それからアジア圏のドクターにも広めたい。それが現在の私の夢です。
■矯正治療適齢期に矯正治療を
どんな世の中になるか、ますます予測不可能な時代ですが、英語圏の人と何らかのコミュニケーションを取らなくてはいけない時代になることは確実です。となると、やはり英語をマスターすることは欠かせません。同時に、歯列矯正も必須です。矯正は、子どもの可能性を広げる一つのツールとなり得るのです。
保護者の多くは「本人がやりたいと言わないから」と、子どもの歯列矯正に消極的です。でも、これを勉強に置き換えてみてください。つまり、ほとんどの子どもは「勉強をしたい」と自分からは言いませんよね。
でも、親はなんとかしてやらせようと工夫して、子どもに働きかけています。矯正もそれと同じことではないでしょうか。「本人待ち」「本人次第」という親は、私に言わせれば、それは「逃げている」にすぎません。
勉強と同じく、物事にはやはり「適切な時期」というものがあると思います。私はずっと英語の勉強を続けていて、今でも単語を覚えようとしていますが、これがなかなか覚えられず、「50歳を越えたのだから仕方ないのかな」などとぼやく日々です。
昔も覚えは悪かったかもしれませんが、高校受験や大学受験の頃、あるいは20歳前後の時のほうが、ずっとよく覚えられました。ガッツリ勉強に身が入る適齢期は、20歳前後だったのではないかと思います。
同じように矯正治療にも適齢期があるのです。それが、中学生、高校生の時なのです。いろんな意味で、この時期に治療することは、大人になってやるよりも、ずっとよい選択だと思います。
一度矯正をしたら、少なくとも口の中の状態を、一生自分で健康に保つノウハウを教えてもらうことができます。そうなれば、あとはずっとその歯で人生を送ることができます。歯並びがよくなるのはもちろん、虫歯にもなりません。後戻りしないよう努力は必要ですが、その努力さえ力になります。
そうしたことを中学生、高校生で身につければ、それは大きな財産だと思うのです。そう考えると、矯正治療は短期的に見れば保険外診療でもあり高いと感じるかもしれませんが、長期的に考えれば必要な自己投資の一つではないかと思います。
中高時代には、勉強やクラブ活動など、青春を謳歌するさまざまな活動がありますが、その活動の一つに歯列矯正も加えていただければ、笑顔と自信に満ちた生活を送ることができるでしょう。
そして、美しい歯並びを武器に、やがては世界で活躍できるようになることを願ってやみません。
成田 信一
自由が丘矯正歯科クリニック院長
歯学博士
↓コチラも読まれています
ハーバード大学が運用で大成功!「オルタナティブ投資」は何が凄いのか
富裕層向け「J-ARC」新築RC造マンションが高い資産価値を維持する理由