(※画像はイメージです/PIXTA)

算数が苦手な子かどうかはノートを見るとすぐにわかります。共通する特徴として計算式や図形をあまり書いていないからです。一部の塾講師の中にはできるだけ頭の中で解くように指導する人もいるようですが間違いです。正しく書くことはどんな効果があるのでしょう。プロ家庭教師集団「名門指導会」代表の西村則康氏が著書『難関校合格のすごい勉強習慣』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

図を書かない方が「効率的」は間違い

算数が苦手な子は、ノートを見ればすぐにわかります。ほとんどの場合、計算式や図形をあまり書いていないからです。

 

たとえば、問題文に「AさんとBさんは5:3のお金を持っています」とあったとします。算数が苦手な子に線分図を書かせてみると、その子は「5:3」で書いたつもりなのですが、5と3の関係がどう見てもおかしいということが多々あります。数字のボリューム感がそもそも育っていないのです。

 

でも、「あれ? それって本当に5:3に見える?」などとたずねてみると、「ちょっとおかしいかな…?」と言い始め、落ち着いて考えて正しく書き直すことができます。1度書くことに慣れれば、すぐに感覚を得ることができるのです。

 

とくに苦手とする子が多い図形問題は、問題を読みながら問題文の主旨に合った図を書くことができるかどうかが大きなポイントになります。

 

「3つの角の大きさが30度、60度、90度の直角三角形があります」と文章で書かれているものを、「どんな三角形かな?」と書かせてみると、問題文どおりではない、おかしな三角形になってしまう子が少なくありません。立体図形が苦手な子は、見取図や展開図がまず書けません。

 

それは、書いたことがないからです。塾でも、「自分で図を書きなさい」とは指示されないと聞きます。図を書く作業に時間をとるくらいなら、できるだけ頭の中で考えて解いていったほうが時間短縮にもなり、効率的だと教える講師もいるくらいです。

 

最近、親御さんから「塾の先生がそうおっしゃるので…」という話を頻繁に聞くようになり、私は強い危機感を覚えています。塾の学習から「スロー学習」がどんどん割愛され、「スピーディー学習」が加速されている気配を感じずにはいられないからです。

 

「自分で図を書いて考える」という学習法を教えようとしても、面倒そうにする子がいます。どれだけしつこく言っても、自分で新たに書き起こさず、テキストにある図に線などを書き込んですませようとします。「いちいち書くのは時間のロスだ」「そういうやり方はできない子がする方法だ」という思い込みがあるようです。

 

ただ、書くことを軽んじてしまっている子に、「図を書きなさい!」「面倒とか言わないの!」と叱っても、効果がないのは言うまでもありませんね。

 

手を動かして書けば解ける問題が増え、書くことで思考力が鍛えられてどんどん頭がよくなり、成績が上がることを「書く・スロー学習」で教えてあげてください。

 

西村 則康
プロ家庭教師集団「名門指導会」代表

 

 

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※本連載は、西村則康氏の著書『 難関校合格のすごい勉強習慣』(日本能率協会マネジメントセンター)から一部を抜粋し、再編集したものです。

西村式中学受験小4~小6で差をつける 難関校合格のすごい勉強習慣 受かる子・受からない子の違いは「スピーディー&スロー」学習法

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西村 則康

日本能率協会マネジメントセンター

難関校が求める「難問に向き合ったときでも試行錯誤できる子」「自分の頭で考えられる子」を育てる。スピーディー学習、基本的な処理能力を身につけるトレーニング、スロー学習、「いつもどおり」の安定した行動をとらせるため…

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