「テキスト読み込み」→「暗記」の流れ
理科と社会は、暗記科目なので後回しになりがちです。この2科目が苦手でも、小6の最後の追い込みでなんとかなると考えている親御さんは多数いらっしゃいますし、理・社も大切だとわかっているにもかかわらず、算・国に時間をとられ過ぎて、理・社の学習をする時間を捻出できない子どもはもっと多いのです。
しかし、今の理科と社会は暗記学習だけでは太刀打ちできないレベルの問題が頻出しています。
2019年の理科でも、これまでのように単純な知識をたずねる問題や、塾のテキストや市販の問題集でよく見られ、知識を覚えておけば正解できる、いわゆる「パターン問題」の数には減少傾向が見られました。
それに対して、会話形式の問題文タイプや、受験生にとって身近ではない題材やおそらく見たことも聞いたこともないような題材を取り上げ、長い問題文を読み下しながらさまざまな角度から考えさせていくタイプの問題が増えています。社会も同様の傾向にあります。
それはつまり、受験生の知識レベルだけでなく、思考レベルを問いたいという学校が増えているということにほかなりません。入試本番直前の数ヵ月で覚え切れる量ではとてもなく、現象と原因の関係に思いをはせるためには、小4からの学習が大切になってきます。
ですから、理社こそ「スロー学習」がますます大切になってきた科目だといえるのです。
小4理科と社会の「スピーディー&スロー学習」の1週間は、2科目共通で❶から❸のような流れになります。
○塾の授業を受ける
❶塾の翌日、大切な言葉に下線を引きながら、テキストを読み込む→スロー
❷塾の翌日または塾のない日の夜、宿題のテキスト後半の演習問題→スピーディー
❸週末か塾のない日の夜、テキストを見て覚え直す→スロー
❶塾の翌日、下線を引きながら、テキストを読み込む
理科・社会ともに、塾のテキストはとても充実しています。しかし、内容が授業時間にくらべて豊富過ぎるため、授業ですべて触れられないのが現状です。
多くの場合、授業で扱っている単元の説明の途中で時間切れになります。最後の15分くらいで「では、問題を解いていこうか」となり、一部の問題の解説が終わったところで「あとは家でしっかり読んでおきなさい」と指示を受けて授業は終わりです。とはいえ、言われたとおりに家でしっかり読む子どもはいません。
理社で欠かせないのは、塾の翌日に前の日に習った箇所のテキストを徹底的に読み込むことです。ただ、物語を読むように単に目を通しているだけでは、使える知識は増えていきません。必ず大切な言葉に下線を引きながら読んでいきましょう。
小5になると、下線を引いたものを覚える時間を別に設ける必要がありますが、小4の学習ならば、下線を引きながらじっくりと読んでいけばある程度覚えられます。
そして、「読む・スロー学習のコツ⑤」(74〜76ページ)でもお話ししたように、重要語句を拾い読みするのではなく、「○○だから□□になる」と、できごとや現象が起こった因果関係を頭の中にインプットしながら読んでいきます。
この「スロー学習」を経験していない子で、社会が苦手な場合、テストで正解したときの気持ちは、「できた!」ではなく「当たった!」です。勘で解く「当て問クイズ」のようになっているので、どうして当たったのかは理解できません。「でも、点がとれたから、まあいいか」を繰り返して小6を迎えると、それからは本当に大変です。
最後の最後で「もう算数も国語もこれ以上は伸びそうもないけど、志望校の合格ラインに達するため、あと20点ほしい!」となったときの秘密兵器になってくれるのが、理社の地道な「スロー学習」なのです。