中国国際友好連絡会には要注意なワケ
■友連会と中国政経懇談会(中政懇)
中国国際友好連絡会(友連会)は、2016年の解放軍改革前は人民解放軍総政治部連絡部に所属していたが、改革後は中央軍事委員会政治工作部に所属する重要な対外組織だ。鄧小平の指示により、1984年12月に設立された友連会は、中国の外交、国家安全保障、統一戦線、プロパガンダ、軍事チャネルを通じて影響工作を推進している。
友連会は、日本社会の幅広い分野において交流活動をおこなってきた。例えば、建築家、 書道協会、退役軍人、グローバルな印刷会社(凸版印刷など)と交流している。友連会はまた、囲碁のために日本のプレーヤーを巻きこんだ全国レベルの大会も主催している。
友連会は、とくに防衛省・自衛隊にとってリスクの高い組織である。
自衛隊を退官した将官クラスの一部が加入している「中国政経懇談会(中政懇)」という組織がある。中政懇は、1977年に中国側の要望で日本に設立された組織で、友連会と関係がある。新型コロナ蔓延以前はほぼ毎年、中政懇のメンバーが中政懇中国訪問団として北京などを訪問し、中国の退役将官や現役の高官と安全保障対話をくりかえしてきた。
中政懇の中国訪問にはメリットとデメリットがある。メリットは、日中関係が厳しく、解放軍の軍事力増強が著しい状況において、中国側の戦略や作戦構想、解放軍の最新状況などの情報を入手できること、OBとはいえ日中の将官レベルの相互理解を促進できることだ。
一方、私がもっとも恐れるデメリットは、日本側の参加者から日本の秘密情報が流出することであり、日本人参加者がハニートラップやマネートラップに引っかかって中国のスパイになるリスクである。
友連会の狙いは、中政懇の退職将官を取りこむことで現役自衛官の人脈を拡大し、親中意識を高めるとともに、自衛隊内の中国に対する脅威認識をめぐる意見の違いを拡大することであろう。
私の複数の知人は中政懇の中国訪問に参加しているが、彼らが中国側に取りこまれたという兆候はなく、中国側から得た情報を各種媒体で発表するなど、中国訪問の成果と透明性をアピールしている。
一方で、彼らが帰国してから、中国側からどのようなアプローチを受けているのかは明らかではない。帰国後の工作こそ気を付けなければいけないという指摘は多い。
私が所属する安全保障懇話会は、中政懇とは別個の組織だが、防衛省・自衛隊を退職した高位高官(将官クラス)が加盟する任意組織である。ただ、安全保障懇話会の一部のメンバーは中政懇のメンバーでもある。安全保障懇話会でも中政懇メンバーの中国訪問の危険性について話題になることがある。
退官した将官の大部分は中政懇に慎重な姿勢をとっているが、少数だが中政懇の訪中を容認する者もいる。私は友連会とは関係をもつべきではないと思うし、中政懇メンバーの中国訪問は中止すべきだと思っている。
日本の公安警察も中政懇と友連会の交流を苦々しく思っている。友連会には近づかないほうが身のためだと思う。