(※写真はイメージです/PIXTA)

イノベーションを起こすには、どうすればよいのでしょうか。新奇な発明として一時の話題になり、やがて消えていった製品はいくらでもあります。しかしそれは新発明であってもイノベーションではありません。社会にあるいはもっと具体的に人間の生活様式に組み込まれ、普及するような進化となって初めてイノベーションといえるのです。イノベーションの実例である「産業革命」を例に、イノベーションがいかに生まれるのかを見ていきましょう。

「紀元後の世界GDP」の推移

■1500年かけて2倍になるも、20世紀以降のわずか120年で25倍に急増

トライアンドエラーとそれによって生まれるイノベーションが、人間社会をいかに大きく変えるものとなるのか、それを示す好例は近代以降のGDPの劇的な上昇に見て取ることができます。西暦1年から1000年までの世界のGDPは、およそ2000億ドルでまったく変わりません。500年後の1500年でも4000億ドルで、1600年は6000億ドル、1700年も同じく6000億ドルです。これらの数値は20兆ドルを一目盛りとしたグラフではその1〜3%ほどですから、ほぼ横軸のゼロのラインに重なってしまう程度です。

 

備考:単位は、2011年時点の国際ドル 資料:Our World in Data 出典:経済産業省「通商白書2020」
[図表1]紀元後の世界GDPの推移 備考:単位は、2011年時点の国際ドル
資料:Our World in Data
出典:経済産業省「通商白書2020」

 

ところが1800年代に入って、それまでの緩やかな上昇ラインが一気に変わります。

 

1870年は1700年代の3倍を超える1兆9000億ドル、1900年は3兆4000億ドル、2000年には実に63兆1000億ドルに達し、19世紀以降、人間の経済活動は爆発的に拡大しているのです。

 

かつて1500年かかってようやく2倍になったGDPは、20世紀以降のわずか120年で25倍になりました。将来、地球史を俯瞰して振り返る何者かがあれば、この時にいったい何が起こったのだろうと首をかしげるに違いありません。明らかに何かが人間の社会で大きく変わり、現代へと一気に後押しされる新たなステージが始まっているのです。

 

■人類社会におけるイノベーションの始まり、「イギリス産業革命」

ここでは分かりやすく人類社会全体のGDPの変化を紹介しました。同様に人類一人あたりの進化の指標として一人あたりのGDP(GDP per Capita)をみても、やはり1800年代から劇的な変化が起きていることが分かります。

 

このインフレクションポイント(変曲点)にあるものは何か?  多くの要素が複合していますが、最も大きなものはいうまでもなくイギリスで起こった産業革命です。さまざまな場面への蒸気機関の導入だけでなく紡績機の改良、製鉄や印刷技術の開発などさまざまな発明と社会への実装が一気に、そして集中して進みました。

 

産業革命は人類社会の革命であったといっていいと思います。産業革命は人類社会にとってカンブリア紀の「目」の誕生に匹敵する大イベントであり、そこから人類社会の爆発的進化のプロセス、すなわちイノベーションが始まったのです。それまでなかった技術改良の連鎖がなぜこの時のイギリスに集中し、わずか一回の革命がなぜこれほど急激で大きな上昇の起点となったのか。その理由を探っていけば、イノベーションとは何かを解き明かすヒントが見つかります。

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    ※本連載は、太田裕朗氏、山本哲也氏による共著『イノベーションの不確定性原理 不確定な世界を生き延びるための進化論』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

    イノベーションの不確定性原理 不確定な世界を生き延びるための進化論

    イノベーションの不確定性原理 不確定な世界を生き延びるための進化論

    太田 裕朗
    山本 哲也

    幻冬舎メディアコンサルティング

    イノベーションは一人の天才による発明ではない。 そもそもイノベーションとは何を指しているのか、いつどこで起き、どのようなプロセスをたどるのか。誕生の仕組みをひもといていく。 イノベーションを創出し、不確定な…

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