(写真はイメージです/PIXTA)

契約不適合責任とは、契約に適合しない商品を引き渡した場合に追及される責任のことで、従来の瑕疵担保責任から改正されたものです。本記事では、不動産を売却する際に注意すべき契約不適合責任について解説していきます。

契約不適合責任は契約で免責できる?

売主としては、契約不適合責任を問われることのないよう、契約で免責したいと考えることでしょう。契約不適合責任を免責することができるかどうかは、買主の類型によって次のように異なります。

 

相手が一般消費者である場合

相手が一般消費者である場合には、原則として契約不適合責任の免除条項を入れることはできません。これは、消費者契約法により、事業者の債務不履行によって消費者に生じた損害を賠償する責任の一部を免除する条項は原則として無効であるとされているためです。

 

ただし、目的物の種類や品質に関する契約不適合があったとしても、売主が履行の追完や代金減額に応じる場合には、事業者の責任を一部免責する条項は無効にならないとされています。

 

相手が業者である場合

相手が事業者である場合には、売主の契約不適合責任を免責する特約は原則として有効です。ただし、売主が知りながら買主へ告げなかった事実については、その責任を免れることができません。

 

売主が宅建業者である場合

不動産の売買において売主が宅建業者である場合には、たとえ相手方が事業者である場合であっても宅建業者たる売主の責任を免除する特約は無効となります。これは、宅建業法において、契約不適合責任に関する規定について、買主に不利となる特約は原則として無効となると規定されているためです。

 

ただし、相手方も宅建業者である場合には、免責が認められています。

売主が検討すべき契約不適合責任への4つの対策

契約不適合責任を追及されないため、売主は次の4つの対策を検討しましょう。

 

契約書に売却する不動産の状態を詳細に記載する

契約不適合責任は、契約内容と異なるものを引き渡した場合に追及される責任です。つまり、契約書に書かれている内容が、契約不適合かどうかの大きな判断材料となります。そのため、特に中古住宅などの中古品を販売する場合には、販売する物の状態をあらかじめよく確認し、契約書へ明記するようにしましょう。

 

たとえば、中古住宅を売買する場合には、付帯設備が老朽化していることが少なくありません。この場合には、付帯設備の状態を詳細に契約書へ記載しておくことで、契約不適合責任を追及されるリスクを減らすことができます。

 

買主の請求期間の制限を検討する

上で解説したように、契約不適合責任を請求できる期間は、原則として買主が不適合を知ってから1年以内です。

 

この規定のみを読めば、買主が不適合に気づくのが遅れた場合、契約からかなりの期間が経過してから契約不適合責任を請求される可能性があります。そのため、契約不適合責任の通知期間を引き渡しから2年間などと制限することを検討すると良いでしょう。

 

ただし、あまりにも短い期間へと制限した場合には、消費者契約法の規定により無効とされる可能性があるため注意が必要です。

 

契約不適合責任の免責を検討する

売主が宅建業者ではなく買主が事業者である場合などには、特約によって契約不適合責任を免除する余地があります。買主の態様によっては、契約不適合の免責を検討すると良いでしょう。

 

不動産に詳しい弁護士へ相談する

瑕疵担保責任から契約不適合責任へと改正されたことで、売買契約において契約書がより重視されることとなりました。思わぬ契約不適合責任を追及されることのないよう、契約書を作りこむことがより重要となっています。

 

ただし、あまりにも相手方にとって不利な内容としてしまえば、無効とされてしまうかもしれません。免責が可能かどうかも含めて、不動産に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

 

◆まとめ

契約不適合責任とは、引き渡した目的物が契約内容と異なっていた場合に追及される責任です。瑕疵担保責任から契約不適合責任と改正されたことで、より契約書の役割が重要となっています。

 

思わぬ責任を追及されないためにも、契約の内容を弁護士に確認してもらうと良いでしょう。

 

森田 雅也

Authense法律事務所 弁護士

 

 

 

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本記事はAuthense不動産法務のブログ・コラムを転載したものです。

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