Uターン転職の面接で志望動機を聞かれて、「何でもやります」「どんな仕事でもできます」という答えは最悪です。面接時には自分に何ができて何ができないか、等身大の自分というのを、正確に把握しておく必要があります。キャリアコンサルタントの江口勝彦氏が解説します。

自分の強みやキャリアを分析できているか

■「何でもやります!」「何でもできます!」はあり得ない

 

転職の相談や面接で志望動機を聞かれて、「何でもやります」「どんな仕事でもできます」という答えは最悪です。キャリア相談のカウンセリングをしていると、時々こう言ってくる人がいるのです。

 

何でもやりますという答えは、10代の学生アルバイトが言うせりふです。「社会経験がない代わりに、やる気とフレッシュさで何にでも挑戦するので仕事を教えてください」というのなら通用しますが、30代になってのこのセリフはアピールポイントにはなり得ません。逆に、仕事に対するポリシーも誇れるスキルもないと自分で宣言しているようなものです。

 

また、どんな仕事でもできますという答えは、その万能感はどこからくるのか、自分自身を高く見積もり過ぎていないかと相手の不信感を生みます。自分を過小評価するのも良くないですが、あまりに自信たっぷりだと客観性がないという判断にもなってしまいます。

 

自分に何ができて何ができないか、等身大の自分というのを、やはり自己理解によって正確に把握しておく必要があります。

 

■自分のキャリアに合う仕事とは何か

 

自分の強みやキャリアを活かして何ができるかを自覚しているのとしていないのとでは方向性や成功率が大きく違ってきます。

 

例えば都内で最先端のSEをしていた人がいたとして、転居先の近くで社内SEを募集している地方企業があったので転職したとします。しかし、この人が地方企業で東京にいたときと同じようなレベルの仕事がさせてもらえるかというと疑問です。

 

地方企業で最先端のSEが必要とされる会社はかなり特殊です。おそらく、社内をオンライン化したくてITのインフラを整えたいとか、インターネット通販を始めるのでホームページを作りたいなどの目的でSEを募集したのではないかと想像されます。サーバーを設置してプロバイダーに接続して、社内のパソコンを無線でつないで、ホームページのデザインを組んで……などの初歩的な仕事を求められる可能性が高いように思います。

 

するとこの人は「こんなつまらない仕事をするために転職したのかな」と思ってしまいます。自分のキャリアがもったいないと感じれば、また転職先を探すことになるのです。

 

もしこの人が自分の強みやキャリアをしっかり分析できていたら、最初から安易に求人に飛びつくことなく、別の最適な職場を模索したはずです。

 

もう少し通勤範囲を広げて規模の大きめの会社に目を向ければ、ITを使った新しい施策をしようとしている会社でシステム系の人員を統括するチームリーダーの仕事がありそうです。地方では今からIT戦略を本格的に進めたいという企業が結構あります。 

 

そういう会社なら、この人は今まではエンジニアのプレイヤーでしたが転職後はマネジメントという一段上のキャリアを開拓できます。東京にいた頃のスキルや人脈、情報網などを活用して、転職先の会社もレベルアップしていけます。

 

地方への転職は、年収はたとえダウンしたとしても仕事の内容はダウンさせないほうがいいです。今までのキャリアより少し上を目指すことが、やりがいを失わずに頑張れる秘訣です。

 

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本連載は江口勝彦氏の著書『幸せのUターン転職』(幻冬舎メディアコンサルティング)から一部を抜粋し、再編集したものです。

幸せのUターン転職

幸せのUターン転職

江口 勝彦

幻冬舎メディアコンサルティング

30代になると結婚や子どもの誕生、マイホームの購入、親の介護などさまざまなライフイベントを迎えます。 そのタイミングで都会からのUターン転職を考える人もいますが、年収やキャリア形成の不安から「自分が働ける場所はな…

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