(画像はイメージです/PIXTA)

独身の叔父が亡くなり、遺産を相続することになったおいめい2人。叔父は価値ある収益物件を所有する一方、事業で失敗して多額の負債も抱えています。おいは、債務を遺産の範囲内で相続する「限定承認」を提案しますが…。高島総合法律事務所の代表弁護士、高島秀行氏が実例をもとに解説します。

相続が発生した場合の「3つの選択肢」

相続が発生した場合、遺産がもらえるといういいことばかりではありません。借金や連帯保証という負債がある場合には、それも相続することとなります。

 

そこで、相続が発生した場合には、次の3つの方法があります。

 

1.単純承認

 

すべて相続をするということです。遺産も相続しますが、逆に借金や連帯保証という負債も相続することとなります。

 

2.相続放棄

 

相続をしないということになります。借金や連帯保証という債務も相続しませんが、自宅や預金などの資産も相続できなくなるので注意が必要です。

 

しかも、この相続放棄は、相続開始を知った日から3ヵ月以内に家庭裁判所にする必要があります。

 

3.限定承認

 

遺産と債務の両方を相続しますが、債務は遺産の範囲内で相続することとなります。したがって、限定承認をしておくと思わぬ債務があとからわかったとしても遺産の範囲でしか相続しませんので、相続をして損をすることがありません。

 

この限定承認も相続開始を知った日から3ヵ月以内に家庭裁判所にする必要があります。

 

しかも、限定承認は、相続人全員でする必要があります。

 

以上が、相続の単純承認、相続放棄、限定承認となります。

 

通常は、遺産と債務の額を比較して、遺産が多ければ単純承認をして、債務のほうが多ければ相続放棄をするということになりそうです。

 

ただ、債務のほうが多くても、遺産にアパートやマンションなどの収益物件があり、その賃料で債務を支払えるのであれば、相続放棄をしないで単純承認をするということも考えられると思います。

 

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