(※写真はイメージです/PIXTA)

競争力のあるクリニックを作るには、どうすればよいのでしょうか? 老木浩之氏の著書『開業する医者の9割が知らないクリニック経営で本当に大切なこと』(日本医療企画)より、クリニックにおける「特徴・ウリの創出」について解説します。

医療における「ウリ」とは?

■ウリとは「患者さんがそのクリニックに来る理由・魅力」

ウリとは患者さんがそのクリニックに来る理由・魅力です。ウリが強固でたくさんあればあるほど、そのクリニックは競争力が高いことになります。選択理由がたくさんあるということは、たくさんの患者さんが来るということに他なりません。そして、ウリは患者満足度を上げる取り組みや仕掛けと定義づけることができます。

 

ウリには、「他にはない優れた点」という必須要件があります。たとえば、受付職員が患者さんを笑顔で出迎えるのも患者満足度を高める取り組みには違いありません。しかし、どこのクリニックでも同じことをしていたら、ウリにはなりません。独自の選択理由になって初めてウリと言えるのです。

 

■「医師の説明、振る舞い」と「診療結果」はウリとして最重要だが…

医療におけるウリの最重要因子は、「医師の説明、振る舞い」です。患者満足度を構成する要素としては診療結果よりも重要度は高いのです。医療という情報の非対称性が大きい分野では、医師の説明やパフォーマンスが患者さんや家族に好印象を持って評価されることは何にも増して大きな強みになります。そして、意識的、無意識的にかかわらず、この患者さん側の感覚的評価を唯一の拠りどころとして開業する医師が実に多いのです。

 

しかし、外来の混雑具合などの要因で質的変化を余儀なくされる「説明」「振る舞い」をウリの中心に据えるのは危険です。他院との差別化ができているのかどうかも確信できません。もし、あなたが「全日本満足度の高い説明をする医者選手権」のメダリストなら私は納得します。謝ります。しかし、多くの医者はそうではないはずです。

 

「診療結果」でも同じことが言えます。医療機関を受診する第一の目的は、病気・症状の治癒・改善ですが、日々の診療、特に開業医レベルの診療では診療結果として患者さんが明らかに実感できるほどの他院との違いを出すことは容易ではありません。特に慢性疾患の管理ではその傾向が顕著です。

 

まとめると、「医師の説明、振る舞い」と「診療結果」はウリとして最も重要なもので、それらを改善させる努力は常に継続していくことが大切ですが、この2つは他院との差を確信することが難しいので、それ以外の分野でもウリを創るという意識を持ち続けていただきたいのです。

 

■「診療の軸となる医療」を患者目線でアピール

では、何がウリになるのでしょうか。その第一は、「診療の軸となる医療」です。診療の軸となる医療があれば、あとは患者さんの目に触れる、はっきりとわかりやすい分野でいかにアピールできるかを考えます。CT撮影ができるとか、レーザー治療をしている、血液検査に積極的、舌下免疫療法に取り組んでいるなど、ホームページや待合室で周知することも大切です。

 

たとえば、手術であれば、通常2時間かかる手術が1時間になった、出血量200ミリリットルが100ミリリットルになったとしても、患者さんが実感できる利点はなく、響きません。患者さんの尺度になっていないのです。術後の痛みは心配するほどではなく、痛み止めを飲む人はほとんどいない、手術の3日後には日常生活に復帰できるといった点を強調しなければいけません。一般人に響くところで勝負しているかどうかを繰り返し自問自答してほしいと思います。

次ページ「医療サービス」におけるウリとは?

本連載は、老木浩之氏の著書『開業する医者の9割が知らないクリニック経営で本当に大切なこと』(日本医療企画)から一部を抜粋し、再構成したものです。

開業する医者の9割が知らないクリニック経営で本当に大切なこと

開業する医者の9割が知らないクリニック経営で本当に大切なこと

老木 浩之

日本医療企画

これを読まずに開業してはいけない! 院長の想いを具体化した特徴ある診療内容、競合を寄せ付けない患者サービスを実現する方法とは? <主な内容> ・患者視点に立った「特徴」「ウリ」のつくり方 ・信頼できる業者を…

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