診察室に入るまでの「待ち時間」を短縮するメリット
待ち時間対策は非常に重要です。2~3時間待ちの診療体制は許されないという意識を持っておく必要があるでしょう。一方で、待ち時間とは何かを正しく捉えることも非常に大切です。待ち時間対策を推し進めることによって、クリニックの強みやウリが損なわれては本末転倒だからです。
待ち時間は、受付処理待ち、診察待ち、検査待ち、会計待ちと、あらゆるフェーズで発生します。そのため、広義の待ち時間対策とは、診察室内での1人当たりの時間短縮に代表される、あらゆる業務の時間短縮・効率化のことになります。そして、狭義には、診察室に入るまでの時間短縮の工夫を指します。ここでは、後者を待ち時間対策と定義づけて話を進めます。
待ち時間の短縮は不満要因を軽減させ、患者満足度の低下を防ぐ大きな効果が見込めますが、それ以外にも診療や運営においてさまざまな効果があります。まず、待合室で立って待つ人や駐車場待ちの防止につながります。また、待ち時間が長いと対応する職員や医師もストレスを感じますが、それに伴うサービスレベルや医療内容の劣化を防ぐことにもつながるのです。そして、終業時間が早くなると、職員満足度が上がり、離職率の低下に寄与します。最終的には増収や人件費の軽減にも有効なのです。
待ち時間対策の考え方
待ち時間をなくすことはできませんし、待ち時間のないクリニックは潰れかけのクリニックです。待ち時間対策として業務の効率化や時間短縮は大切ですが、待ち時間は不可避という前提で対策を考えていきましょう。待ち時間対策の考え方には次の4つがあります。
①待ち時間を減らす(来院の集中時間緩和を含む)
②待ち時間の情報をリアルタイムで正確に提供する
③待ち時間を苦痛なく快適に過ごせるようにする
④待ち時間の過ごし方に選択肢を提示する
①〜④について具体的な対策を解説します。