「99%以上が潰れない事業」だったが…「今後開業する医師」に起こる激変 (※写真はイメージです/PIXTA)

今や開業は、医師ならば「いつでも、どこでも、誰でも」できる選択肢ではなくなりつつあります。ひと昔前なら上司と喧嘩して即退職し、その3ヵ月後には突貫工事で開業にこぎつけたような話は結構ありましたが…。老木浩之氏の著書『開業する医者の9割が知らないクリニック経営で本当に大切なこと』(日本医療企画)より、開業医を取り巻く現状と今後起こり得る問題について解説します。

今後「開業事情」は大きく変わる

わが国の開業医の現状は、開業は「いつでも、どこでも、誰でも」でき、運用実態は「フリーアクセス」「薄利多売」「プライマリ・ケア」です。自由な参入と開かれたマーケットで、経営者にとってはもってこいの世界でした。唯一の参入障壁は医師資格だけだったのです。しかし、今後、開業要件は、かかりつけ医制度の制度変更に大きく左右される可能性があります。

 

まずは制度変更がまだ起こっていないごく近未来の開業事情を見ていきます。全般的な傾向としては、人口減少と診療報酬の減額によって、新規開業や継承よりも倒産・廃業数が上回り、開業医の数は減っていくはずです。人件費の高騰は2025年から2030年のあたりでピークを迎え、その時期を持ちこたえることができれば、倒産リスクはやや低下します。AI(人工知能)の普及で労働力不足が緩和されるからです。医療機関でも受付事務の仕事はかなりの割合で無人化が進むはずです。

 

とはいえ、クリニックの運営が厳しい状況に変わりはありません。現在の歯科と同様、二極化が顕著になります。医師の雇用を増やし、あるいは共同経営で、多数の医師を抱える大規模化が進むでしょう。

 

大規模化の対極は小規模化です。医師一人、あるいは医師とスタッフ一人のようなランニングコストを極力抑えたクリニックの生き残る道はあるはずです。ただ、このような零細クリニックの強みは低コストという点だけなので、客観的にはぜい弱な運営体制と言わざるを得ません。

 

従来通りの規模の開業、医師一人、スタッフ10人以下の形態は、際だった専門性、もしくはかかりつけ医制度の制度変更が生き残りのカギです。どちらも、周辺クリニックから紹介を受ける診診連携が前提になります。診診連携は病院へのアクセスの難易度が上がるため、今ほど難しくはありませんが、自院の特徴のアピールや院長同士の関係構築など、いわゆる営業活動も必須になるでしょう。

医療法人hi-mex 理事長 

1983年、近畿大学医学部卒業。神戸市立中央市民病院副医長、近畿大学附属病院耳鼻咽喉科講師、医療法人生長会府中病院部長を経て、2001年、大阪府和泉市にて耳鼻咽喉科サージクリニック老木医院を開業(のちに医療法人化)。

その後、2つの分院を開設(2011、2019年)。2016年には第13回耳鼻咽喉科短期滞在手術研究会の会長を務める。他に泉州耳鼻咽喉科地域医療研究会を主催。耳鼻咽喉科専門医、医学博士。著書に『専門医のお医者さんが語るQ&A中耳炎』(2000年、保健同人社)がある。

著者紹介

連載開業する医者の9割が知らないクリニック経営で本当に大切なこと

本連載は、老木浩之氏の著書『開業する医者の9割が知らないクリニック経営で本当に大切なこと』(日本医療企画)から一部を抜粋し、再構成したものです。

開業する医者の9割が知らないクリニック経営で本当に大切なこと

開業する医者の9割が知らないクリニック経営で本当に大切なこと

老木 浩之

日本医療企画

これを読まずに開業してはいけない! 院長の想いを具体化した特徴ある診療内容、競合を寄せ付けない患者サービスを実現する方法とは? <主な内容> ・患者視点に立った「特徴」「ウリ」のつくり方 ・信頼できる業者を…

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