(※写真はイメージです/PIXTA)

アパート経営を行う大きなメリットのひとつに「節税効果」があります。では、アパートを経営する際、「個人事業主」と「法人」では税金にどのような違いがでてくるのか……多賀谷会計事務所の宮路幸人税理士が解説します。

アパート経営で「節税効果」を最大限享受するためには

前述したように、アパート経営における法人化のメリットは、以下のとおりです。

 

① 個人の最高税率と法人の税率差により、支払う税金を抑えることができる。

② 法人の業績により役員報酬を決められるため、個人所得の調整が可能となる。また、役員報酬として家族にも報酬を支払うことができる。

③ 給与所得とすることにより、給与所得控除の適用を受けることができる(最大195万円)。

④ 法人は営利目的で設立されるため、個人事業と比べて経費の範囲が広くなる。

⑤ 個人で所有する不動産を法人に移し、個人の所有財産を「不動産」から「株式」に変更することにより、相続財産の評価額を減らすことができる。

⑥ 法人の場合、損失を10年間繰り越すことができる(個人の場合は3年)。

⑦ 設立1、2期目は原則として消費税の免税事業者となる。

 

一方、法人化がデメリットとなる場合は以下のとおりです。

 

① 会社を設立する際に資本金を準備する必要があるほか、会社設立等の費用もかかる

② 運営費用(税理士報酬等・法人住民税均等割)が毎年かかる。

③ 法人である場合、社会保険の加入が必要となり、コスト増となる。

④ 個人名義の不動産を法人が購入する場合、不動産取得税や登録免許税がかかる。

⑤ 個人と比べて、税務調査の対象となる可能性が高まる。

⑥ 年金を受給している人の場合、給与所得金額により年金が支給停止になる場合がある。

⑦ 個人事業に戻る場合、会社解散・清算する場合にも費用がかかる。

 

このように不動産投資を進めるうえで、「個人事業主」と「法人」、それぞれのメリットとデメリットを紹介してきました。

 

一概にどちらがよいとはいえませんが、「おおむね不動産所得が1,000万円を超える場合は法人化を検討してみるのがよい」でしょう。

 

しかしながら、各人の状況(たとえば、相続税の節税目的など)により、設立したほうが有利かどうかは異なるため、気になる人は税理士などの専門家に相談のうえ、検討することをおすすめします。

 

 

野村・多賀谷会計事務所
税理士
AFP
宮路 幸人

 

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本記事は『アパート経営オンライン』内記事を一部抜粋、再編集したものです。

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