(※写真はイメージです/PIXTA)

日本とアメリカで大きく異なる「不動産取引」。アメリカの不動産取引の特徴的な部分のひとつとして“エクスローを介しての取引”が挙げられますが、具体的にはどんなものなのでしょうか。本記事では「日米の不動産取引の違い」について、シアトルで不動産エージェントとして活躍している女性・森田さんとともに、アメリカ不動産コンサルティングを展開する村上年範氏が解説していきます。

中古不動産、“欠陥”が存在したら売主に責任はある?

村上 では、続いての話題です。日本のマーケットでは新築が7~8割、中古が2~3割と新築不動産が多く、中古不動産はなかなか取引されません。

 

アメリカは基本的に中古不動産マーケットが中心になりますよね。日本は新築が多いのでビルダーやデベロッパーが瑕疵担保責任を負い、もしもその不動産に何か問題があればビルダーやデベロッパーが責任を持つというルールがありますが、アメリカでも、売主側は不動産の瑕疵担保責任が問われるものですか?

 

森田 新築の場合は瑕疵担保責任があって、それぞれの設備に年数が細かく決められています。一方、アメリカにてとても活発な中古不動産には、売主に瑕疵担保責任のようなものはないのですが……。

 

あるとすれば、知っている事実を開示しなかったということに対して罪の責任が課される場合があります。例えば、屋根から水漏れしていることを知っていながら、それを報告しなかった場合、後からその事実が発覚して訴えられるというリスクはあります。

 

村上 けれど問題がある際でもそれを開示しておけば大丈夫なんですね。結局買主側の権利を行使しなければ売主側の瑕疵担保責任は問われないという認識なのですけれど……。

 

森田 その通りです! 中古不動産でも、売主側にはディスクロージャーステートメントというものがあります。知っている事実を買主に報告するための書類があり、数十項目に及ぶ細かい質問に対して答えを記載するものです。

 

法律的にこの書類を出さなくてはいけないということが決まっていて、買主はそれを受け取って「納得する」ことになるので、村上さんの言う通り、“知っていて買う”ということになります。

 

屋根からの水漏れがあったとしても、それを知っていて購入が成立したのであればまったく問題はない、ということです。

「詐欺」のリスクが少ない?

村上 続いて、日本では有名な大手不動産会社でも“地面師”などに騙されたりする場合があります。大きな損害を被ることもありますが、個人的にはアメリカの不動産取引の仕組みを見ると“地面師”という詐欺が成立しないような仕組みになっていると思います。この点はいかがでしょうか?

 

森田 そのような詐欺行為は絶対に不可能というわけではないのですが、アメリカにはタイトル会社という不動産の権利関係専門の保険会社があるため難しいでしょう。

 

まず不動産を売りに出すときにエージェントはタイトル会社にタイトルレポートという書類をオーダーします。このレポートは無料で出してもらえるもので、所有者や抵当権の有無、地上権などを含めた権利関係が書かれており、日本で言う登記簿のようなものにあたります。

 

そして、タイトル会社はタイトル保険というものを出しています。売主が買主のために保険を買いますが、このタイトル保険には購入した後に権利関係で瑕疵があったりウソの表記があったりして、買った側が損害を受けた場合にはそれを保証してくれる保険になっています。こういった保険やシステムがあるので、その点は保障されています。

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