(※写真はイメージです/PIXTA)

手塩にかけて育てた企業を、後継者へスムーズに承継したい…。そのように願っている社長は多いはずです。しかし、経営者自身や後継者の状況、会社の経営状態、課税関係のタイミングなど、さまざまな要素が重なり合い、承継は先延ばしされがちです。回避するには、まず自社株を「いつ渡すか」「どのような方法で渡すか」という承継計画を作ることが重要となります。

「論理」も「社長の潜在的な思い」も重視した計画書を

事業承継計画作りには、社長の事業承継を終始支援し続ける「社長本位のサポーター」がチームを作り、対応していく必要があります。チームには、税金、法律に関する専門家の関与が欠かせません。さらに、社長の思いを受け入れて、社長の潜在的なニーズや後継者と社長の家族の思いをおもんぱかる支援者の存在が重要と筆者は考えています。

 

節税を重視した方法を論理的に検討し、その方法を忠実に実行し、節税メリットを得られたとしても、将来、社長・後継者・社長の家族が、「何か違う気がする」と感じる事態が生じるかもしれません。

 

「論理的」なアプローチから方法を検討することに加えて、社長の潜在的な意識をくみ取り、後継者や後継者以外の家族のことについて「情理的」な観点から検証して、計画の落としどころを見つけていくことができる者がチームにいれば、社長とその家族の人間味も反映する事業承継計画を作ることができます。そして、社長の思いを反映した計画こそ、自分事となり社長自らが行動を起こし、サポーターチームと社長が一体になって計画の実行を進めていけるものになります。

 

今後、AIの技術が進歩することで、社長の状況をふまえて論理的な計画を速やかに作ることができるようになるでしょう。社長が、PCやスマホに節税や納税資金対策といった社長が重視する特定の項目を選択し、社長の現状のデータは他のシステムから連携して入力され、事業承継計画がすぐに提示されるようなイメージです。それほど遠くない未来に実現すると思います。

 

しかし、システムで瞬間的にできあがる計画は簡便なゆえに、結局、社長は計画を作ったものの実行に移せないといった、今とほとんど変わらない事態が続くのではないかと、筆者は感じるところがあります。

 

事業承継計画を着手するためには、論理をふまえ情理を反映した計画を作り、その計画を伴奏しながら実行支援する専門家が必要と思っています。AI技術が加速度的に進展する時代においても、情理をくみ取れる専門家は欠かすことができない存在になると考えています。

 

次回以降、自社株の渡し方それぞれの方法について展開していきたいと思います。
 

 

石脇 俊司
一般社団法人民事信託活用支援機構 理事
株式会社継志舎 代表取締役

 

 

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