(※画像はイメージです/PIXTA)

リモート会議が行われるようになって以来、時間にルーズな部下についてのお悩みが増えてきました。時間を厳守するよう指導するのは当たり前のことですが、甘えを断ち切るには多少突き放すことも有効です。産業医の井上智介氏が著書『職場のめんどくさい人から自分を守る心理学』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

説明し、諭し、自ら気づかせることが重要

▶やる気がない、ネガティブな発言を繰り返す

やる気がないというのは、組織の中ではよく問題視されますが、私個人の意見としては、与えられた仕事をしっかりとこなしているのなら、無理にやる気を見せる必要はないと考えています。

 

マズローの欲求5段階説でも説明したように、会社に求めているものは人それぞれだからです。

 

しかし、あからさまにやる気のない態度をとったり、周囲の気持ちを考えずにネガティブな発言をしてチームの士気を下げるのはよくないですよね。

 

このような部下がいる場合に上司がしなければならないのは、その言動が問題だということをきちんと伝えることです。

 

多くの場合、周囲の士気を下げる人は、自分の言動が周囲に悪影響を及ぼしていることに気づいていません。

 

「本当のことを言っただけ」程度にしか思っていないので、まずは、相手を不快にさせるという以上に、チーム全体に悪い影響をもたらす問題行動だということを理解してもらいましょう。

 

しかし、このタイプの人たちにただ指導をしても、「雰囲気を悪くしたと言って怒られた」ということしか頭に残らず、反発されてしまいます。

 

あくまでも、損をするのは自分だと気づかせることで改善を促しましょう。

 

たとえば、会議などで部下が周囲の和を乱すような発言をしたら、終わった後に、「さっきああいうふうに言っていたけど、言われた人はどう感じたと思う?」と聞いてみてください。

 

「がっかりしたかもしれませんが、本当のことです」

 

などと答えてきたら、

 

「それを聞いた周りの人はどう思うか?」

 

ということも聞いてみましょう。

 

どちらの問いかけに対しても、大した問題ではないと答えるかもしれませんが、そこではじめて、

 

「ああいう発言はあなたが損をするから避けたほうがいいよ。なぜなら……」

 

と伝えるのです。

 

言われた本人を不快にさせるだけではなく、職場全体の雰囲気が悪くなること、せっかく頑張っていても、周囲からの評価が下がることを伝えましょう。

 

あくまでも、頭ごなしにやめさせるのではなく、そういうことをしていると自分の損になるよ、というスタンスで諭し、自ら気づかせることが重要です。

 

井上 智介
産業医
精神科医
健診医

 

 

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※本連載は井上基介氏が著書『職場のめんどくさい人から自分を守る心理学』(日本能率協会マネジメントセンター)から一部を抜粋し、再編集したものです。

職場のめんどくさい人から自分を守る心理学

職場のめんどくさい人から自分を守る心理学

井上 智介

日本能率協会マネジメントセンター

「仕事の悩みは人間関係が8割」だといいます。 職場ではさまざまな人と関わる必要があり、仕事の関係上、自分が人間関係を選ぶことも難しい。自分に都合の悪いことは無視する上司、融通がきかない部下、承認欲求が強く、自己…

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