スタンフォード大学医学部教授が教える「眠りやすくなる習慣」 (※写真はイメージです/PIXTA)

寝付きをよくするには、どうすればよいのでしょうか? 睡眠研究の第一人者、スタンフォード大学医学部精神科教授・西野精治氏の最新刊『スタンフォードの眠れる教室』より、「入眠にいい習慣」を解説します。

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Q. 入眠にいい習慣はどんなものですか?

⇒A. 自分に合う習慣を組み合わせ、「ポジティブ・ルーティン」を作りましょう。

「音楽を聴きながら眠ってもいいでしょうか?」

 

「ラベンダーの香りが入眠に効くと聞きましたが、本当ですか?」

 

講演会の質問コーナーではだいたい似たようなことを聞かれます。音楽や香りなど入眠にいいとされる習慣は、脳のリラックス効果があると考えられているもの。しかし私は個別に「いい、悪い」をお伝えしません。それは、たとえエビデンスがあろうと、何によって脳がリラックスするかは、「人それぞれ異なるから」です。

 

■認知行動療法で「入眠の悪い習慣」を排除

脳をリラックスさせるために取り入れたいのは、心理学の認知行動療法。睡眠障害の治療にも用いられています。簡単にいうと思考や行動の癖となっている「悪い習慣」をやめて、「いい習慣」に置き換えるということです。

 

悪い習慣の典型的なものは、「寝室で目が冴えることをする」というもの。ベッドでスマホやテレビを見る、読書をするといった習慣を続けると、「寝室に入っても寝なくてもいいんだな」と自分の心に思い込ませることになり、悪しき習慣として身についてしまいます。

 

眠くない時に寝室に行くと、スマホを見たりしてしまうもの。そこで「眠くなるまでは、寝室に行かない」と決め、心に「寝室は寝るところ」と思い込ませるといいでしょう。

 

■「以前これをやったらうまく眠れた!」という成功経験を取り入れる

睡眠障害は心理的、外的、身体的な要因で生じることがわかっています。室温、布団や枕といった外的な睡眠環境を良くしていくのと同時に、心の面からも改善していきましょう。

 

「音楽を聴きながら眠っても大丈夫ですか?」という質問への答えは、それでうまく眠れた経験がある人には「イエス」であり、気になって眠れなかった経験がある人には「ノー」。「音楽があると眠りやすい」という個人としての経験があるか否かで答えは異なります。

 

私は落語が好きで、音量を落として聞きながら眠るのが習慣です。これが自分の「うまく眠れる成功パターン」なので、入眠のいい習慣として取り入れているわけです。最近では、音声だけの漫才がYouTubeでもたくさんアップロードされているのでそれらも聞きます。興味深いことにその多くに「睡眠用」とタイトルがつけられているので、寝ながら漫才を聞く人も結構多いのだと思います。

 

モーツァルトがいいという研究もあり、リラックス効果がある音楽で良く眠れるという報告もあります。小川のせせらぎ、波の音、たき火の炎、虫の音など、自然界の多くの現象には、ゆらぎがあります。特に「1/fゆらぎ」と呼ばれるゆらぎは、予測できない不規則なゆらぎであり、「規則的な音」と「不規則でランダムな音」が調和した状態ともいえます。ゆらぎに身を任せると脳がリラックスしますので、就寝前に聞けば良く眠れるかもしれません。

 

モーツァルトの楽曲にも「1/fゆらぎ」が含まれ、美空ひばりさんや宇多田ヒカルさんの歌も解析すれば「1/fゆらぎ」が含まれます。ただ、音楽は、旋律はもちろん、音質、リズム、強弱や速さ等で構成されていますので、ゆらぎだけでなく自分が眠りにつきやすいものを選びましょう。

 

「シーンとした無音がいい人」も多いので、そんな人が突然、眠りにいい音楽ということで試聴すると、逆に眠りにくくなる可能性もあります。

 

■成功パターンを組み合わせて「ポジティブ・ルーティン」を作る

1、入眠時に聞く音(音楽、落語、波の音、無音など)

2、入眠時の香り(ラベンダー、石けん、無臭など)

3、入眠前に飲むもの(ハーブティー、麦茶、水など)

4、入眠前にすること(パジャマに着替える、ストレッチをする、ヨガをする、日記を書くなど)

 

カッコ内はどれも自分の過去の成功パターンの一例です。私のように、「YouTubeのお笑いを聞けば良く寝られる」という人もいます。自分のポジティブ・ルーティンを作りましょう。すなわち、これを”する”とよく眠”れる”といった自分のポジティブ・ルーティンを作りましょう。

 

そのポジティブ・ルーティンでリラックスすれば、脳のスイッチをオフにできます。睡眠への効果の不思議な点は、プラセボ効果です。睡眠薬の治験では、偽薬(プラセボ)が睡眠薬と変わらない程度に効果をもたらすことがあります。すなわち効果があると信じて実行すれば、本来の効果とあわせて相乗的な効果が得られる可能性があり、これが本稿で述べるポジティブ・ルーティンです。

 

人によっては、神経質になり、これを“しない”と眠れない”といった、ネガティブ・ネガティブ・ルーティンを行う人もいますが、リラックスが睡眠に効果がある点からすればネガティブ・ネガティブ・ルーティンはお勧めできません。数学ではネガティブ×ネガティブはポジティブになりますが、実生活では必ずしもそうとは限りません。

「スリープテック」を試すのもオススメ

今、世界では「スリープテック」市場が急成長しています。スリープテックとはITやAIなど新しい技術を活用して睡眠をモニター・分析・改善するサービスや製品のこと。こういった機能を持つアプリやスマートウォッチなどを活用することも、ルーティンを作る一助になるかもしれません。アメリカでは、使用者に応じてパーソナライズされる不眠症の認知行動療法のアプリも急速に広がっています。

 

 

ブレインスリープが行った調査では、日本で、睡眠の質を上げるためにアプリを利用している人は全体の5.6%、ガジェットを使用している人は4.3%にとどまっており、スリープテックはまだあまり普及していません。年代ごとに見てみると、アプリの利用率が一番高かったのは男女ともに20代でしたが、ガジェットにおいては、男女ともに60歳以上が最も利用率が高い、という意外な結果になりました。

 

今後、スリープテック関連の市場は広がっていく可能性がありますが、自分に合うと思うものがあれば、試してみるのも一つの手かもしれません。

 

 

西野 精治

医師、医学博士

スタンフォード大学医学部精神科教授

株式会社ブレインスリープ 創業者兼最高研究顧問

 

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医師、医学博士
スタンフォード大学 医学部精神科 教授
スタンフォード大学睡眠生体リズム研究所(SCNL)所長
日本睡眠学会専門医、米国睡眠学会誌、「SLEEP」編集委員
日本睡眠学会誌、「Biological Rhythm and Sleep」編集委員 

1955年、大阪府出身。大阪医科大学卒業。1987年、大阪医科大学大学院4年在学中、スタンフォード大学精神科睡眠研究所に留学。突然眠りに落ちてしまう過眠症「ナルコレプシー」の原因究明に全力を注ぐ。2000年にはナルコレプシーの発生メカニズムを突き止めた。2005年にSCNLの所長に就任。2007年、日本人として初めてスタンフォード大学医学部教授となる。

睡眠・覚醒のメカニズムを、分子・遺伝子レベルから個体レベルまでの幅広い視野で研究している。

33万部のベストセラーになった著者の初作、『スタンフォード式 最高の睡眠』(サンマーク出版)は、10ヵ国語に訳され、世界中でも広く読まれている。2020年9月に文藝春秋より刊行された『スタンフォード式 お金と人材が集まる仕事術』。スタンフォード大学教授だからこそ発信できる希少情報が話題に。

コロナから3年、最新のデータを踏まえ、改めて睡眠を語る最新作『スタンフォードの眠れる教室』(幻冬舎)、2022年4月、好評発売中。

※西野教授の理論をもとに開発された枕も好評。「BRAIN SLEEP PILLOW」

著者紹介

連載スタンフォード大学医学部教授が教える「眠り」の正解

スタンフォードの眠れる教室

スタンフォードの眠れる教室

西野 精治

幻冬舎

寝られなくても大丈夫! 科学的エビデンスで長年の悩みを解決。睡眠の誤った常識を覆す、眠りの研究最前線とは? 30万部を突破した前著『スタンフォード式 最高の睡眠』から5年。睡眠研究の権威・西野精治氏による待望の…

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