(※写真はイメージです/PIXTA)

夜きちんと寝ているつもりでも、日中に眠気を感じる人は少なくないでしょう。眠気を覚ますには、どうすれば良いのでしょうか? 睡眠研究の第一人者、スタンフォード大学医学部精神科教授・西野精治氏の最新刊『スタンフォードの眠れる教室』より、「日中の眠気対策」を解説します。

Q. 眠気を覚ます方法を教えてください。

⇒A. コーヒーと覚醒の音楽で休憩しましょう。

眠気を取りたい時は、熱い飲み物が効きます。ホットコーヒーが定番なのは、カフェイン含有量が一杯あたりおよそ150mgと、緑茶や紅茶に比べて多いためでしょう。カフェインには睡眠を促進する疲労物質アデノシンの効果を阻害する働きもあります。休憩時間が取れるのなら、ちょっと優雅に、コーヒーと音楽で眠気を覚ましてはどうでしょう。

 

■特に「酸味のあるホットコーヒー」がオススメ

コーヒーには深煎(い)り、浅煎りといろいろありますが「覚醒」という意味では、酸味がある浅煎りのものを選ぶのも一つの手です。名古屋大学の調査では、味覚刺激として強いものは、「酸味、塩味、苦味、甘み」の順とされています。酸味と苦味が強いマンデリンのようなコーヒーに、甘いクッキーでなく塩味のナッツをポリポリと噛んでみてもいいでしょう。

 

私は、酸味がないカフェアメリカーノ(エスプレッソで圧をかけて抽出したものをお湯で割る)が好みです。カフェアメリカーノでは、抽出はまとめて行わず、エスプレッソマシーンで一杯ごとにされるので、たとえコーヒーチェーン店で注文しても抽出は注文後になります。私が30年前に渡米した頃、アメリカンコーヒーといえば、色が茶色というだけの、味も香りもない代物だったのですが、この抽出方法のカフェアメリカーノは、日本でもコーヒー先進国のヨーロッパでもポピュラーになっています。

 

日本でも販売されている複数のエナジードリンクも覚醒効果はありますが、もし常用するようになっても大丈夫かどうか配慮する必要があります。一方、コーヒーは古くから世界中で飲用されており、1日500〜600mg程度のカフェイン摂取であれば体に良い効果も認められます。ただ体内で代謝する速度が遅いので、就寝前の飲用は睡眠の質を悪くします。しかし、夕食後のコーヒーを楽しみにしていて、自分の睡眠に不満がないなら、やめる必要はないと思います。

次ページ眠気を払う「覚醒の音楽」とは?
スタンフォードの眠れる教室

スタンフォードの眠れる教室

西野 精治

幻冬舎

寝られなくても大丈夫! 科学的エビデンスで長年の悩みを解決。睡眠の誤った常識を覆す、眠りの研究最前線とは? 30万部を突破した前著『スタンフォード式 最高の睡眠』から5年。睡眠研究の権威・西野精治氏による待望の…

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