透明・公平なアメリカ不動産を支える仕組み「MLS」
村上 ここまではリアルターのお話について伺いました。アメリカの不動産情報は透明かつ公平ということですが、それはMLSという仕組みに支えられている印象を受けます。MLSもまた、使用するためにfee が発生するとの話も聞いていますが、そのあたりはいかがでしょうか?
森田 まず、MLSを利用するにはライセンスを持っていて、ブローカーやエージェンシーに加入していることが第一条件です。もしくは自身がブローカーである場合にMLSに加入できます。
そしてその逆に、エージェントであればMLSに加入しないと基本的には売買取引ができません。そのため、MLSに未加入のエージェントがいたら大丈夫かな? と不安に思うところです。
日本だとREINSという業者専用の不動産の情報サイトがあると思うのですが、アメリカのものとはシステムが全然違っています。
アメリカの不動産業界ではMLSの力が非常に強く、少しでもリスティング(媒介契約)の情報が間違っていたり、実物と違う写真が掲載されていたり、アップロードする書類がいろいろとあるのですが、それらが少しでも間違っていたり、そもそもアップロードされていないということがあったりすると、即座にMLSから警告が入り、2日以内に訂正しなければ罰金、それでも問題があれば、最終的にはMLSから解除ということになるのです。
MLSがエージェントや書類関係、広告のコンセンサスを取っているようなかたちです。
村上 その厳しいMLSのルールが不動産情報の透明性と公平性を担保しているように感じますね。やはり独立して不動産業を行うにはいろいろとお金がかかるわけですね。
森田 そうですね。一般的に言われているのは、いきなりアメリカの不動産業界の資格を取ってエージェントになろうと思うと、すぐに契約を決めてもらえて、お金が入ってくることはあまりなく、出ていくお金のほうが多くなってしまうということです。なので、3~6ヵ月は無収入でも生きていけるだけの貯金をしておくといいと言われています。
村上 なるほど……かなりシビアですね。(笑)
森田 そうですね……、日本では固定給もありますが、アメリカは100%自分でビジネスを展開していきます。
働き方も全然違いますし、どこに重点を置いてマーケティングをしていくかを考えて、自分がやりたいエリアを決めたらそこに集中して広告をうったり、管理人に営業をかけたりと自分で考えて活動を行っています。
村上 では、日本の不動産会社にもお勤め経験のある森田さんにお伺いします。現在は、アメリカで活躍されているので愚問かもしれませんが、森田さんとしては日本とアメリカで不動産会社で務めるとするならば、どちらの環境がいいと思いますか?